■2014.02

日めくり 2014年02月(平成26年)         



2014.02.01 伯父夫婦の上京

新潟から伯父夫婦が上京。
リハビリ入院中の叔母を見舞ったあと、従姉の店に親戚中が集まった。
初めてハトコの旦那とも顔を合わせたが、これだけの親族が集まったのは久々。
還暦を迎える従兄も「あんちゃ」と呼ばれ、53の自分も○○坊と呼ばれる。
伯父や叔母たちもすっかり爺様婆様になったが、まだまだ元気だ。
85になる伯母も随分と小さくなった。昔からこの伯母のことが好きだった。
バイクの後ろに乗って畑にスイカを獲らせてもらったことを今でも憶えている。
ネイティブなズーズー弁を聞くと、本当に新潟に行きたくなった。
新幹線で随分と近くなったが、高齢の身体でよく来てくれたものだと思う。


2014.02.02 今年のヨコハマ映画祭

例によって関内ホールに到着した時は入場待ちの列が会館を一周していた。
しかし今年のヨコハマ映画祭は例年とまったく雰囲気が違っていた。
純粋な日本映画ファンも、あまりの福山雅治の人気に圧倒されたのではないか。
しかし『そして父になる』は良作だったが、福山の主演男優賞ってどうなのだろう。
ヨコハマ映画祭は間違いなく信頼できる映画賞&イベントだが、
ここ数年の主演男優賞の選考には正直「?」が付く。
堺雅人→豊川悦司→瑛太→阿部寛→福山雅治。
どうも作品の出来や演技よりも名前を先行させていはいないか。
それでも監督賞の森崎東が杖をつきながら登壇したときはグッときたし、
黒木華の大阪弁のスピーチは可愛かったし、二階堂ふみはキュートだった。
この二人は間違いなく次代の日本映画界を牽引する存在になるだろう。
真木よう子の脚の細さには思わず会場からどよめきが起こっていたが、
リリー・フランキーのとぼけた爆笑もののスピーチが面白かった。
そして何よりも上映作品がシネコンでは味わえない熱気で迎えられるのがいい。
『舟を編む』が笑いを随所に散りばめたエンターティメントだと初めて気づく。
その熱気を暗転させるような『凶悪』への静かな拍手で幕を閉じた10時間だった。


2014.02.03 石は~外(願)

実は土曜日の朝、また赤褐色のおしっこが出た。
血尿といえば44年前の『君は海を見たか』という倉本聰のドラマが思い浮かぶ。
あれは小児がん(?)の子供と父親との触れ合いを描く話だった。
「パパ、ママ、面白いよ、ボクのおしっこ真っ赤だよ」の幕切れは衝撃的だった。
いやいやそんな悠長に大昔のテレビドラマを思い出している場合か。
昨年の暮れは血尿から9時間後に激痛と嘔吐に見舞われ、救急病院まで這った。
だから下手すればヨコハマ映画祭どころではなくなると覚悟した。
幸い週末は激痛に見舞われることなく、今日、職場近くの泌尿器科に行く。
腎臓から前立腺にかけてCTスキャンを撮る。MRIではなくCTは初体験だ。
写真を見ると腎臓に小さく光るものがあり、医者からこれが結石だと説明された。
昨年末の結石は尿管から消えていたので、それはどうやら流れたらしい。
また新たな石を我が腎臓は生産してしまったということか。
腎臓の結石があるということは血尿を伴うのは有りがちな話だそうだが、
どこかが破裂して出血して血尿になるのに、まったくの無痛であるのが不思議だ。
不思議というより気持ち悪い。何より血尿が出たときの気分の悪さたらない。
外側から衝撃波で粉砕するには結石が小さすぎるのだという。
結局、水分を多くとって自然に流れるのを待ちましょうとなった。
ということは、尿管を通るときにまたあの激痛がやってくるのか。
腎臓に時限爆弾を抱えているのか、ああ~心の底から憂鬱だ。
「腎臓の石」が「賢者の石」ならばよかったのだが・・・


2014.02.04 雑節

朝日新聞の「天声人語」は社説に追随する傾向の記事はとても読んでられないが、
手練れの執筆者が故事の引用や薀蓄を傾けてくる内容には読ませるものがある。
今朝の「天声人語」は“雑”について。「雑途往還」の管理者として面白かった。
昨日の節分などは二十四節気以外の「雑節」と分類されるらしい。
「雑節」とは適当に扱われている印象だが、なかなかどうして、
節分、彼岸、入梅、八十八夜、土用などそこそこの顔が並ぶ。
「すまし顔の二十四節気にくらべて、おもちゃ箱を開けた感じ」と執筆者は表現する。
確かに雑貨、雑炊、身辺雑記、雑木林と身の丈の親しみが“雑”の字にはある。
「雑途往還」は「雑な途を往ったり還ったり」という意味で勝手に拵えた造語だが、
「立春」がこの冬一番の冷え込みとなることもあるのだから、
折り目正しく生きていくより、人生“雑”であることの面白さを見出すのも面白い。


2014.02.05 寝る

「日めくり」なんてテキトーに書いていると思われるのだが、
(確かにテキトーに書いているのは事実だが)
ときにはページを開いたまま最初の文字を書くのに一時間もかかることもある。
今夜がそんな感じだ。
書こうと思えばネタなどいくらでもあるのだろうが、
書けないものは書けないし、書いていいものとそうではないものもある。
何かネタはないかとネットを波乗りしてみると、
情報が溢れすぎていて、みるみる気分が空疎になっていく。
要は眠いんだろうな。よし寝よう。


2014.02.06 隠し事はサスペンス

子供の頃、隠し事が次第に大きくなり、親や先生にバレないかとドキドキする。
そんな経験は誰でもあるのではないか。
そもそも隠し事の一切ない人間なんているのだろうか。
ただ子供の悪戯なら可愛が、大人となると洒落にならんこともある。
昨年からの一連の事件。食品偽装表示、JR北海道、猪瀬直樹、新幹線工事の談合。。。
本人(関係者)はいつ明るみに出るかと身もやつれるほど恐々としていた筈だ。
佐村河内何某のやったことについては、「あ、そう」程度のもので、
ことの善悪そのものに興味は湧かないが(なにひとつ善いことはないだろうけど)、
どうもゴーストライターとの間にもっと別の何があったのではないかと予感させ、
18年も葛藤を抱え、追い込まれていく心理的な葛藤にサスペンスの醍醐味を感じる。
そういえば、先日逮捕されたマルハニチロ食品工場の農薬混入男。
あれは線路の置き石と同じで、単に憂さ晴らしにスリルを楽しんだ大バカ野郎だ。


2014.02.07 ソチ五輪開幕

この「日めくり」を始めてから2回目の冬季オリンピック。
前回のトリノでは・・・あ、また四年前と同じミスを、前回はバンクーバーだ。
本当に時間の流れる早さをオリンピックで噛みしめることが多い。
正直言うと冬のオリンピックは採点競技が多いので苦手。
タイム競技にしても暫定順位が下がっていく様を見ることになるのは辛い。
前回、暫定2位につけた上村愛子が4位に落ちていく過程にじりじりさせられたが、
競技の大半を相手に対して「しくじれ、コケろ!」と念じて見るというのが何とも・・・。
中継がド深夜であることを幸いに、結果は朝のニュースで十分か。


2014.02.08 大雪

電車は遅れ、ホームセンターでは長靴が売り切れていた。
よう降りました。ホームに吹雪いてきて積もるなんて初めて見た。
新潟に荷物を出す予定を昨日のうちに済ませておいてよかった。
実家に泊まることになったが、実家の庭が雪に埋もれていたのも久々に見た。
子供の頃から雪の中を歩くと自分が大魔神になった気分になる。
雪の『大魔神逆襲』は6歳のときだが、未だに甦ってくる(苦笑)
滅多に起こらないこが起こると、時間や記憶の壁など軽く超えるものだ。


2014.02.09 上村愛子、届かず

四年前。「4年に一度きりの30秒。ある意味では永遠の30秒」と書いた。
“上村愛子、届かず” まったく同じタイトルをバンクーバーのときも書いた。
これは本当に凄いことなのだと思う。
見ているだけで膝関節がおかしくなりそうなモーグルを5大会20年継続する。
表彰台に立てなかったのは運でしかない。
といったら、アスリート上村愛子に失礼だろうか。


2014.02.11 Cinema Complex

シネコン(複合映画上映施設)最大の功労として、
音響設備や環境が良くなったことを挙げる人もいるかもしれない。
しかしそれらはとくにシネコンに特化されただけの特徴ではない。
なにより駐車場が完備され、繁華街以外の立地が可能となったことで、
年間1億人割れ目前の映画人口に歯止めをかけたことが一番大きい。
確かに便利ではある。便利ではあるのだが、シネコンによって失われたものもある。
シネコンには合理性とコストパフォーマンスのためか緞帳もカーテンもない。
「幕を開ける」「幕間」「幕を下ろす」。
幕は劇場が劇場らしくあるための必須の舞台装置であり小道具だ。
百歩譲って緞帳は我慢しよう。しかしカーテンがないことによる実害は捨ておけない。
ビスタやスタンダードの画角だとスクリーンの左右に余白が出来る。
これがどうにも歪で見るに堪えない。だから画角がシネスコだとほっとする。
また全席入れ替えの指定制であるため、もう一度見直すことも出来ない。
昔は朝から晩まで同じ映画を何度も観て至福の一日を過ごしたものだった。
そして何よりも観客が変わった。
暗がりの館内でスクリーンに映し出される映画を見知らぬ他人同士が共有する。
その時の不思議な連帯めいたものを私は「暗闇の共犯関係」と呼んでいた。
そんな共犯意識を喚起させる作品こそが名作と呼ばれるものだと思っているのだ。
しかし今の観客はただ黙ってスクリーンを見つめるのみ。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など黙って観ている映画か。
昔の映画館ならばドッカンドッカンと爆笑の渦だっただろう。
今は共犯どころかバラバラな個が集合体になることもなく点在しているのみで、
シーンとした中で懸命にラリって喚き散らし、ファックする主人公が憐れだ。
しかもあの映画、今は高校生のガキは観られないのは信じられん気の毒さだ。
フィルムではなくデジタルとなったのは時代のすう勢として諦める。
ブルーレイ上映なんてとても映画とは思えんが、場合によっては仕方がない。
ロビーの売店以外の飲食も我慢しよう。足を前の座席に乗せながら観るのもやめる。
せんべいをバリバリ齧ることもしないし、まして煙草を吸うなんてもっての外。
ただ、カーテンくらいはつけてくれ、一日に何度も観せてくれ、
上映前の注意事項を「上映中はお静かに」から「おしゃべりは止めよう」に直せ。
「NO MORE 映画泥棒」は実はシネコン、あんたたちだ。・・・とぞ思ふ。


2014.02.12 美しき十代

 ♪遅くなるから さよならしよう
 話しあったら つきない二人
 「明日またね」と手を振りあえば
 丘の木立に 夕陽が紅い
 美しい十代 あぁ十代
 抱いて生きよう 幸福の花
   ※『美しき十代』----作曲:吉田正 作詞:宮川哲夫 歌:三田明
たまに昭和の歌謡曲の歌詞を読むと笑ってしまうことがある。
まだ日が沈んでないんだから、ちっとも遅くないじゃん。
純情やってるのも大変だ。家に帰ってから悶々とするのがオチじゃろ。
さて高梨沙羅ちゃんは残念だった。
17歳を失速させたのはソチの風ではなく、期待に応えなければという重圧だったか。
しかし日本中の期待を一身に背負う経験など誰にも出来ない。
平野歩夢、平岡卓は文句なしに素晴らしかった。
う~ん、美しい十代じゃのぉ。ただ十代だから美しいわけじゃないぞ。
俺の十代なんて、めちゃくちゃ汚かったもの。


2014.02.13 スティーヴン・キング『11/22/63』

去年の暮れから読み始めていた『11/22/63』がようやく終わった。
通勤カバンで持ち歩くだけでもズシリと重い単行本の上下巻は、
満員電車で読むのはキツいし、中華屋に忘れたりもして(汗)、
まったくページ捗らないまま年を越し、2月に入ってしまった。
とうとう意を決して昨日、今日で仕事帰りにファミレスに籠り一気に完読。
長時間テーブルに置いて読んでいたのでいやはや首が痛いのなんの。
しかし噂通り巨匠キングが放った「渾身の一作」だけに、
読後の手応えは物理的な単行本の重さよりもずっと重かった。


2014.02.14 また雪

ベランダの手すりやアンテナ、室外機に積もった雪を手で払い、「はぁ~」。
そうはいっても先週は久々の大雪の珍しさに高揚感がなくはなかった。
見慣れた窓からの景色や、駅前の舗道がまるで別世界になったのに感嘆もした。
しかしまた週末を狙い撃ちしたように降り積もると「いい加減にせぇ~」となる。
緩~い職場は帰りの交通マヒを理由に午後4時に散会。
社会に出て以来、雪で早帰りなんて初めてだったので有難いことではあったが、
実家の雪掻きはご近所でやってもらえるから下手に顔出すなといわれ、
母親を病院に送迎する予定もすべて吹っ飛んだ。
またアパートに缶詰になるんかいなとウンザリもいいところ。
買い置きしていたチョコでも齧るとしようか。


2014.02.15 大雪と羽生結弦の一日

夜中は羽生結弦の結果がどうなのか悶々としていた。
いや別にテレビやスマホを見ればわかるのだが、朝のニュースまで温存。
なんか自分がリアルタイムで観ると負けそうな気がしていた。
九回裏に巨人の先頭打者が出塁すると一旦テレビを消すのと同じ感覚。
う~ん、タイガースファンの悲しい性としかいいようがない。
その甲斐あってか(?)羽生は見事に金メダル。
テレビは一日中フリースタイルのVTRと羽生の「大人の談話」を繰り返していた。
そして大雪。今日のニュースは羽生と大雪以外のネタはすべて飛ばされたか。
先週の大雪はふわふわと軽かったのが、今回は雨を含んでべちゃべちゃと重い。
積もった雪の上に水の層が浮いて、それが凍って滑る、滑る。
雪と氷の上で奮闘してるのはソチだけではなかったというオチか。


2014.02.16 Legend 跳んだ!

たっぷりと昼寝をしてしまったおかげで、ラージヒル男子決勝をリアルタイムで観た。
7大会目にしての快挙。41歳、“Legend” 葛西紀明の逸話の数々は感涙ものだった。
しかし銀メダル獲得は文句なしの快挙だが、金にあと一歩及ばずの銀。
中継をリアルタイムで観ていて、その瞬間は悔しかった。
しかし、試合後のインタビューで葛西は「次こそ金を目指す」といってのけた。
さすがLegend。選手生活の有終の美を飾ったなどと勝手に決めつけてくれるなと。
そして次代を担う若手は全力でLegendを第一線から引き摺り降ろさねばならない。


2014.02.17 祝・黒木華、ベルリン銀熊賞

つい先日、ヨコハマ映画祭で初々しく大阪弁のスピーチをした黒木華が、
ベルリン映画祭の晴れ舞台で祝福されているのは何とも不思議な気分だった。
しかし『小さいおうち』を秀作たらしめたのは間違いなく23歳の彼女だった。
彼女の演じたタキさんの存在感が『小さいおうち』の存在感だと言い切ってもいい。
ただタキさんの晩年を倍賞千恵子が演じたのは少なからぬ減点だった。
黒木華を老けらせることが無理ならば、無名の舞台女優などを起用すべきだ。
倍賞千恵子は山田組になくてはならない名女優だとしても完全なミスキャスト。
まず我々は23歳の倍賞千恵子がどんなだったかを知っている。
黒木華とは顔の造作が違うばかりか、そもそも倍賞千恵子のバリューが邪魔。
これでどれだけ『小さいおうち』からリアリティが削られたことか。
そもそもタキさんが想いを寄せる画家が吉岡秀隆ではシャレにならんだろう。
倍賞と吉岡で、いや、さくらと満男で母子を何十年とやって来たことか。
そんな具合に日本映画はこんな過ちを平気でやってしまう。
主役級をスターが演じるのはいい。しかし脇役やちょい役にスターはいらない。
『永遠の0』もそう。染谷将太はどうしたって夏八木勲にはならない。
景浦を演じた田中泯が素晴らしすぎたので大して目立ちはしなかったものの、
他の老人役に平幹二郎、山本學、橋爪功なんて面々は本当に必要だったろうか。
ハリウッドならばこんなことはしない。その点で日本映画は本当にぬるい。
黒木華の快挙のニュースに、ふとそんなことを思った次第。


2014.02.18 なんだかな

二週続けて都心を襲い、てんやわんやの大騒ぎとなった大雪。
それが収まってからようやく山梨や秩父が雪で孤立していることがニュースになる。
なんだかまるで首都圏の大雪の副産物みたいな扱われ方だと思った。
私鉄が運転見合わせで騒いでいる間に、とんでもない事態が進行していたわけで、
1時間で帰宅できるところを、3時間かかったからどうってことはない。
ニュースより先に情報が優先されるのは仕方ないにしても、
情報が先行して喧伝される中で、初動の救助が後手に回っていたのも事実だろう。
秩父市長が自衛隊の出動を県に要請したところ、一旦断わられたというではないか。
自衛隊は要請があればすぐに出動できるように待機していたという。
阪神淡路大震災のときにもそんな話があったような気がするが、
結局そういう学習能力のなさと危機感の欠如が一番懸念されるのではないか。


2014.02.19 転ぶ日本人選手

気のせいか今回のソチで日本人選手がやたらと転倒する姿を目にする。
転倒するのは日本人だけじゃないのだろうが、まぁ連日、すてんすてんとよく転ぶ。
かつて日本人は欧米人と比べても足腰が丈夫というのが自慢だったはず。
その根拠がちゃぶ台に和式便所となるといさささか心許ないが、
生活様式の変化に伴い、日本人の骨格が変質する過程にあるのかもしれない。
にしても転倒による即失格、予選落ち、メダルを逃すのはいかにももったいない。
さあ真央ちゃん、しっかりと踏ん張ってくれよ。


2014.02.20 真央ちゃん、悔しいな

常にトリプルアクセルを成功させる宿命を負い、
「頑張れ!」「頑張って!」のプレッシャーの中でいつも良い子を求められる。
その期待に誠実に応えながら、この娘はスケートを楽しんでいたのだろうかと思う。
自分がやって来たことを一生懸命出そうとする浅田真央の表情は悲壮だった。
それが貫録で観客を魅了してやろうとするキム・ヨナとの決定的な差かもしれない。
少なくともヨナには調子が悪いときにどうするかの選択肢が何通りもあるの対し、
真央は小さな針の穴の先の光を求めてまっしぐらに突き進んでいる感じなのだ。
メダルのことはさて置いて、明日のフリーは心の底からスケートを楽しんでほしい。


2014.02.21 園子温という名のむきだしの磁場

『ヒミズ』 『冷たい熱帯魚』に目を瞠り、新たな磁場発見と興奮したのが二年前。
それでいて『希望の国』 『地獄でなぜ悪い』を見逃す大失敗。
ようやくシネマヴェーラで園子温の特集が組まれ、仕事帰りに寄っている。
いやはやこんな凄い才能がすでに十年以上も前に輩出されていたのかと思う。
『気球クラブ、その後』に青春の終着駅を迎えた若者たちの焦燥に共感し、
家族の解体と再構築を大胆なアプローチで描く『紀子の食卓』に快哉した。
そして今夜、ようやく伝説の『愛のむきだし』を観る。
何なんだこの怒涛の圧倒感。心の底から慄きながら観た4時間のむきだしの園子温。
深作欣二と神代辰巳が鬼籍に入ってから日本映画に期待するものを失っていたが、
ずっと以前から園子温という同い年の磁場が発生していたことに気がつかなかった。
映画好きを自称しつつ、ずっとスルーしていた不明を恥じたい。
その不明を取り戻す日々がしばらく続きそうだ。


2014.02.22 失言Watcher

前々から舌禍問題はしょっちゅうだが、このところ月に一度はそんなことが起こる。
そしてその多くはマスコミによって“事件“にされるケースが目についてきた。
NHKの新会長の発言など恰好のやり玉に挙げられてしまったが、
決して奇怪な発言内容ではなく、常識に近いものだったと思っている。
「正論かもしれないが、あなたの立場で言ったらお終いよ」ということか。
先の首相補佐官の「アメリカに失望した」発言など、その最たるものだったが、
あれは動画サイトにアップするなど大っぴらにやった馬鹿野郎に過ぎない。
何故、馬鹿野郎かといえば、動画を出しておいて辞める覚悟がなかったことだ。
脇の甘さをマスコミが突いてくるのはいいとしても、
この度の森元首相の「あの子は大事なところで転ぶ」発言が新聞に載ったとき、
あのジジィ、本番前の浅田真央になんてこと言いやがる!と苛っときたのだが、
発言の全文を読むと、決して浅田真央を貶めたものではないことがわかる。
それどころか不細工な言い回しで浅田真央をしっかりフォローしているではないか。
明らかに報道が都合のいいように発言を切り取って世論操作をしていたわけだ。
発言がマスコミによって恣意的に操作されることくらい深刻な大問題はない。
警察の取調べ室での一部可視化にマスコミは猛反対するのだが、
自分らがやっていることは、それとまったく同じではないか。


2014.02.23 晴れの休日

大雪と親の通院付添いなどでなかなか週末は動けなかったが、
ようやく勝手気ままに動ける日曜日になった。
まず代々木八幡社から新宿まで歩いてみる。
知らない道を歩くのは楽しいし、多少の勾配があってもまったく気にならない。
西新宿の常圓寺の墓所でお目当ての墓標を探す。
ここには深作欣二監督の『仁義の墓場』の主人公、石川力夫の墓があるはずだ。
訪れるのは二度目だが、実は「仁義」と彫られた墓標は見つけられていない。
今日も見つけられず、、、まるで『続・夕陽のガンマン』のイーライ・ウォラックだ。
ネットで正確な場所は出ているのだろうが、またゆっくりと探してみよう。


2014.02.24 ないわ~

色々と世話になり、自分の仕事分担を引き継いだ先輩が突然辞めるといいだした。
前々から辞めるつもりだったそうだが、どうしても勢いで辞めるとしか思えない。
しかも今月一杯だと。そりゃないわ~。
ていうか勢いで辞められる身分が羨ましいわ。


2014.02.25 満島ひかり、二階堂ふみ、黒木華、安藤サクラ

渋谷のスクランブル交差点で弾けるように歌って踊りまくる満島ひかり。
園子温監督作品『 Make the Last Wish 』のラストシーン。
『愛のむきだし』での安藤サクラともども彼女は本当に凄い。
二階堂ふみ、黒木華と、このところ凄味を感じる若手女優が輩出されている。
美人女優や演技の巧い女優はいても、凄味を感じさせる女優はそうそう出てこない。
70年代に桃井かおり、秋吉久美子、原田美枝子が出てきた状況に似ていないか。
彼女たちの凄味はテレビドラマのスケールではとても収まりきれるものではなく、
少なくとも朝ドラのヒロインの引き立て役なんかやるなといいたい。
表題の四人は間違いなく日本映画界の至宝になる逸材なのだから。


2014.02.26 ようやく春の兆し

今日は絶好の洗濯日和だった。
しかし西の方からから天気は崩れていく。
いよいよ「ひと雨ごとに春めく」サイクルに入って来たか。
そろそろ邪魔くさいコートを脱ぐタイミングかもしれない。
では暖かくなることを願っているのかといえばそうでもない。
春や秋のような中途半端な季節はあまり好きではないと言い続けている。
しかしその言葉は絶対に真夏や真冬には出てこない。


2014.02.27 ニッパチ

一年間で商いが奮わないのが2月と8月。俗にいう「にっぱち」という奴。
実際、店をやっていたとき8月は悪くはなかった。これは業種や立地による。
確かに2月は厳しい。寒すぎて外出が鈍るのというのもあるが、
一か月の日数が少ないこと。これがかなり痛いのだ。
一日30万の日銭を稼ぐとして100万近くが目減りするのに固定給と家賃は同じ。
まして今年のようにオリンピックがあり、週末続けての大雪は致命的だったはず。
入金がなければ支払いも滞る。2月はいつにもまして自転車操業となる。
ベースアップとか売上予測の上方修正など景気のいい話に顔をそむけながら、
明日は金策に駆け回る零細企業の社長さんたちの姿が目に浮かぶようだ。


2014.02.28 そして2月が逃げてゆく

恫喝もされたが、可愛がってももらった。
千秋楽の国技館の桟敷席をおごってくれたこともある。
ものの考え方や言動に正直「?」と思ったこともあるが、
職場の流れを一気に変えた手際には一目置かざる得なかった。
突然の辞意は四日前。そりゃないだろと思う間もなく去っていく。
本人曰く、還暦を過ぎて冒険できる時間を逆算したのだという。
やらずに後悔するなら、ダメでもやって納得したい気持ちは自分にもあった。
雨模様の池袋に吹く風が、人生は出会いと別れの繰り返しさと告げていた。

                           

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