■2014.08

日めくり 2014年08月(平成26年)         



2014.08.01 残暑

八月の暑さは「残暑」と括られるが、どこが「残」なのか。
しかしひと昔前の八月はここまで蒸していただろうか。
実家の自室にはエアコンなんてなかったが、悶えながらも過ごしてきた。
網戸で寝ていると朝方にはタオルケットを引きよせて丸まっていた気がする。
炎天下の下でバイトしても誰も熱中症なんてかからなかった。
今は建物の影を選んで歩いても少しも涼しく感じない。
日射というよりも熱気がもの凄いのだ。
柿の種なんて摘まんでいると、みるみるうちに湿気ってくるのがわかる。
それでも一年のうちでも八月は特別な月だという感覚が今でもあるのは、
おそらく瞼に浮かぶ思い出の半分は、この月での出来事に集約されているからか。


2014.08.02 悟る

たまに本当につまらないことで親父と口論になる。
口論どころかまともに怒鳴り合うことが多くなってきた。
どうも老いて皮肉と卑屈めいた言動が増したことにカチンとくるのだ。
それでも親子だけにお互いに性格は似ているのか、
何が何でも相手に勝とうとする性分ではなく、すぐに折り合いはつくのだが、
両親を見ていると、ますます自分に依存しようとしているのを感じる。
おそらく二人が最後に「良い人生」を実感できるかは自分にかかっているのだろう。
自分の番が来たときのことは考えたくもないが、今日は少し悟るところがあった。


2014.08.03 腰越海岸をぶらつきながら

午前十時の映画祭で二十歳のときに観た『黄昏』に再会。
毎度のことながら歳を食ってから解るものの多さに驚きながら、
そのまま鎌倉へ出て、腰越海岸で義経・弁慶縁の満福寺などを拝観。
そういえば、この腰越を含め材木座、由比ヶ浜の海岸の命名権が売り出されていた。
球場やホールじゃないんだから鎌倉市も海岸の名前など売るなよってなものだが、
地元の豊島屋が命名権を獲得して、名前は変えないと決定したらしい。
歴史ある鎌倉の海岸が「SHONAN ○○ BEACH」になったら最悪だった。
エライ!さすが豊島屋。地元企業ならではの粋な計らいではないか。
ぜひ、鎌倉を訪れた折にはお土産に「鳩サブレー」を買ってもらいたい。


2014.08.04 朝起きて眼鏡がない

朝、眼鏡が見つからずに、出勤が遅れてしまった。
いやはや腕時計やスマホならまだしも、度付きサングラスで出勤は出来ない。
しかし眼鏡がないと探し物もなかなか覚束ないもので、
畳んだ布団に巻き込んでしまったかとなって、取りあえず古い眼鏡で玄関を出た。
結局、帰宅後に落ち着いて探すと、眼鏡は浴室から見つかった。
どうも寝ぼけながら顔を洗ったときに置き忘れてしまったようだ。
部屋の中での失せ物は、まずどこに置いたかを覚えていないのがいけない。
何にも考えず、物を辺り構わず適当に置くから悪いのだ。
実家に帰れば親の呆気ぶりに腹を立て、憎まれ口を叩くのだが、
はっきりいってこれは遺伝なのではなかろうか。


2014.08.05 大味

ところで“大味”ってどんな味をいうのだろう。
言葉の元はその名の通り味覚なのだろうが、よくわからない。
たとえば今夜の神宮球場。
チケットを買ったときは無意識だったが、
阪神タイガースの夏ロードのスタートとなる試合だ。
結果は20-11の大乱打戦。今まで経験した中でも特異なスコアの試合。
お祭り騒ぎの外野スタンドの一人で観るにはまったく疲れる試合だった。
この夏、最高気温を記録した首都圏。強めの風も湿気を含んでまとわりついてくる。
1本のヒット、1点の重味が極端に軽い。両チーム合わせて39安打31得点。
緊張感がなく弛緩した雰囲気の中、勝敗への興味すら著しく希薄になっていく。
そもそも11点取って負けるスワローズって何なのだろう。
こんな大味な試合、テレビでも最後まで見ていられたかどうか。
・・・そうそう、“大味”ってどんな味覚をいうのだろう。


2014.08.06 笹井氏の自殺

昨日、理化学研究所副センター長の笹井芳樹氏・自殺のニュースが飛び込んできた。
先日放送されたNHKスペシャル『調査報告/STAP細胞・不正の深層』の中で、
その人となりが詳細に説明され、疑惑の中心人物として検証されていた。
再生医学の世界的権威であり、次期ノーベル賞の最有力候補候補といわれる人物で、
論文作成の天才であり、研究所の予算獲得でも卓抜した才気を発揮していたという。
これほどのエリートが何故自ら命を断ったのか?という話ならば、
それほどのエリートだからこそ、命を断ったのだという話で落ち着くだろう。
世界中の研究者から論文の不正を指摘され、理研内部からも厳しく糾弾され、
小保方リーダーとのゴシップも含め、マスコミに散々叩かれていた。普通なら頭に自殺がチラつくのも無理はないだろう。
順風満帆にキャリアを築いて山の頂点に上がった人間が崖から落ちるようなもので、
踏み台程度から落ちて捻挫し「チクショウ!」と喚けば済む自分とは違うのだ。
ただ、今回のことで一番わからないのは、
簡単に疑惑が指摘されるような論文を、何故、発表してしまったかということ。
番組ではこの分野の熾烈な予算獲得や、特許申請競争の実態も紹介されていた。
ナンバー1でなければ許されない利権など想像もつかない世界だ。
ありきたりのオチをいえば(オチをつけてどうする?)
再生医療の権威も、自ら傷けた心の深層の再生は不可能だったということか。


2014.08.07 悔しさも中くらいかな巨人惨敗

暦の上では秋となったが暑さは相変わらず。
しかし、心なしか球場に吹く風がほんの少し涼しくなった気がする。
いや涼しくなったというよりもまったくお寒い試合で、
ライトスタンドだけが緑のビニール傘が乱舞して楽しそうだった。
なんとなく試合開始前から負けそうな予感はしていた。
ロード3試合目にしてローテの谷間。歳内の先発にはどこか博奕臭が漂っている。
しかも、出て来る打者が軒並み3割を超えているヤクルト打線は本当に手強い。
これで先発が好投したら手がつけられなくなる。今夜は村中に要所を抑えられた。
一昨日は猛爆大勝したが、あれは八木のアクシデント降板の結果でしかなく、
おそらく今のセ・リーグで最下位の燕と5位のベイが一番元気なのではないか。
他球場の経過がビジョンに映し出されて巨人も大敗。
その瞬間が一番盛り上がった今夜の神宮球場だった。


2014.08.08 大罪

朝日新聞が「軍が朝鮮女性を強制連行した」との吉田清治の証言記事を訂正した。
そもそも詐話師・吉田清治のことはずっと以前から論壇で取り沙汰され、
他にも植村・朝日新聞記者や吉見・中大教授などの名前も批判の対象となっていた。
記事が出てから32年。私も彼らの名を目にしてからからすでに十数年になる。
その後、吉田はすべては虚偽だったと認めだが、それを発信した朝日は無反応で、
吉見は「強制連行はなくても慰安所は広義の性奴隷だ」と問題をすり替えた。
そこまでの長い年月が放置された結果、日韓問題は今や国際問題となった。
安倍晋三も最初の政権で「強制連行はなかった」ことを閣議決定しているが、
閣議決定した理由をきちんと国際社会に説明する丁寧さに欠けていた。
とにかく32年間も放置した朝日新聞の罪は限りなく重い。
吉田証言の取下げだけで批判の収拾を図るのは絶対に許されることではない。
「何故、私たちは嘘を鵜呑みにした記事を書いてしまったのか」
謝罪を含めた検証記事を掲載することがジャーナリズムの正義ではないのか。


2014.08.09 長崎の鐘

午前中、テレビを流していたら長崎の平和祈念式典の映像になった。
長崎の原爆については黒木和雄の『TOMMOROW/明日』という映画が忘れられない。
あれは原爆投下前夜の庶民の「生」を謳い上げた作品だった。
そんな無垢な人々の生活を一瞬の光と爆風と熱線が破壊する。
正直、今まで広島・長崎の「原爆の日」の番組が始まるとチャンネルを替えていた。
チャンネルを替えなかったのは、世界中の空気が不穏になっているからなのか。
11時2分の黙祷で、多分、生まれて初めてきちんと「長崎の鐘」の音を聴いた。
実に心に沁み入るような綺麗な音色だった。


2014.08.10 何だかイライラ

台風の影響で悪天候の中、仕事でもするかとパソコンに向かう。
以前は仕事の持ち込みなど当り前のことだった。
今は持ち込む仕事自体が珍しくなって、それで億劫にもなっている。
講演の録音を文章にまとめなければならない。年に一度の作業だ。
音を聞かなければならないので、テレビをつけるわけにもいかず、
講演者の持って回ったダラダラ語りにイラつきながらの作業。
そうなると日々のムカつくことまで思い出し、ますます気分が萎えてくる。
気分転換にパソコンから野球の速報を覗くが、さらにイラつくので止めた。
イライラと嵐のアンサンブルも、やがて雨は止んで蝉の声が聞こえてくる。
夏の盛りの嵐は、全国各地で大暴れしているようだ。
異常気象に地域紛争にエボラ出血熱の拡散。
・・・ひとりでイライラしても仕方ないか。


2014.08.11 「山の日」

8月11日を「山の日」として新たな祝日が新設された。
すっかり非仕事人間となってしまった身にとって、休みが増えるのは大歓迎だ。
しかし学生たちにとっては夏休みに祝日なんていらん!となるだろうし、
社会人もお盆休みと重なって今イチ有難味が薄いのではないか。
出来れば祝日のない6月11日に設定してほしかった。
「実りの日」なんてどうだろう。実と11の並びも最高ではないか(笑)。


2014.08.12 ランディ・メッセンジャー IN 東京ドーム

スタンドでGファンの歓声を「あと一球」の大合唱で掻き消す昂揚感。
この快感は神宮や浜スタでは到底味わえるものではない。
ここでは「あと一球」までのプロセスで消費する熱量がまるで違うのだ。
今夜の東京ドームは、メッセが投げて、打って、走っての逆転勝利。
ナインの誰よりもユニフォームを土で汚しながらメッセは頑張った。エライ!
それでも六回裏の無死満塁の絶体絶命の場面は、恐ろしくてとても観ていられず、
喫煙所に逃げて、東京ドームのロビーのモニターをガラス越しで観ていた。
自分と同じような心境のヘタレ虎ファンが大挙して喫煙所に避難していたが、
無死満塁から三者三振に切り抜けた瞬間、メッセとともに全員ガッツポーツだった。
こんな所でガッツポーズするくらいならスタンドで観てろってなものだが、
多分、喫煙所組はみんな「俺が観ていたら打たれる」と思っているだろう。
虎ファンの悲しい性でもあり、悲しい経験則でもあるのだ。


2014.08.13 盆休返上

職場は盆休に入ったが、先月の研修会の報告書という宿題をやっていない。
自宅に持ち帰ってもやる気になれず、いたずらに期限を切羽詰まらせてしまった。
それで今日は無人の職場に出勤。いや、出勤せざる得なくなった。
これがなかなか進まない。録音10分を消化するのに何時間もかかってしまう。
しかも以前ほどの体力も集中力もなければ気力も続かない。
せいぜい野球の経過を一切遮断するのを自分に課すのが精一杯だった。
午後の8時頃、とうとう我慢できずにドームの経過を見てしまい、一気に萎える。
職場と後楽園は電車で20分ほどの距離しかない。
このままだと帰りに浮かれたGファンと鉢合わせになるのが気掛かりだ。
こんな気分で橙色の雑巾を首に垂らした連中を見るのは最悪なので、
とっととPCの電源を落とした“8時半の男”であった。
・・・なんのこっちゃ。


2014.08.14 盆休返上2

今日は“7時半の男”となって帰宅した。
ひとつ山を越えたものの、最後の山に挑むまでの気力は残っていなかった。
しかし誰もいないオフィスで仕事する気分はそれほど嫌ではない。
Tシャツ、半パン、サンダル履きにいつもは禁煙のデスクで灰皿をてんこ盛りにする。
真夏の天王山といわれた東京ドームも芳しくない結果となったようで、
やっぱり俺が行かなきゃダメなのか?と舌打ちしつつ、
まぁこの時期に2.5差くらいで首位を追うのは上出来だと思いながら、
ケツに火がついている貧打線に、明日の浜スタを案じるのであった。


2014.08.15 A yellow day

今日は「午前十時の映画祭」を観た後に、
本牧公園あたりを散策しながら、
浜スタのDeNaベイスターズ戦に雪崩れ込むという流れ。
それにしても巨人戦で投打の噛み合わせの悪さを露呈したタイガース。
果たして好調なベイに勝てるのかどうか非常に心配だった。
しかし朝の映画がたまたま『幸福の黄色いハンカチ』と思い至り心配を一蹴。
何せ “幸福な黄色” という偶然の符合に無頓着でいる手はない。
よっしゃ、今日のラッキーカラーは黄色だぜ、ということで、
黄ユニをバッグに入れて、黄色いTシャツで玄関を出た。
涙腺が壊滅的に弱くなり、嗚咽を噛み殺しながら映画を観終わった後、
100円ショップで黄色いフェイスタオルを買い、
根岸駅から本牧まで歩いたのだが、いやはや暑い暑い。
本牧公園でおそらく何年分もの蝉の鳴き声を浴びたのではないか。
せっかくの黄色Tシャツも、汗でずぶ濡れとなり不気味な橙色に変色。
これは不吉だということでユニクロでシャツを購入。
試合は序盤でリードしたものの、能見が突然打ち込まれて追いつかれる展開。
終盤にラッキーカラーの効用が出たのが上本博黄、いや博紀の一撃。
満塁の走者を一掃した一撃に100円の黄色いタオルを振りかざしていた。


2014.08.16 大丈夫か?

午前中に母親の病院に付き添う。
卵巣のう腫の疑いは腫瘍マーカーの数値が正常だったので先ずはひと安心。
梗塞を起こした脳血管も落ち着いているようで、これもひと安心だった。
むしろ、病院に備え付けてある血圧計の数値が気掛かりだ。
母親のではなく、自分のだ。上が165、下が105と出た。
高血圧は50の坂を越えてから、やたら顕著になってきた。
それから尿意はないのだが、ついでのトイレで大量の排尿に驚くこともしばしだ。
歳をとったというよりも、完全に爺ィモードに突入した感がある。
今夜もその後で横浜スタジアムに出掛けたのだが、
スタンドの急階段の昇り降りですぐに息が上がるようになった。
ボロ負けのタイガースを心配するより、先ずは自分の身体の心配をするべきか。


2014.08.17 盆休終了

今日で盆休みが終了。
二日間を仕事で潰してしまうと五連休の手応えはないのだが、
出掛けることが多くなると、いろいろとツケが回ってくるもので、
朝にゴミ出しして、午後から洗濯などで忙殺されるうちに眠くなってしまった。
午後4時頃から横になって、目が覚めたら夜の8時。
これで連休明けのグダグダ出勤は決定的だろう。
そうはいっても、仕事に実家の用に野球に映画に、それなりに充実していたか。


2014.08.18 夜のしじま

夜の9時頃に落ちてしまい、3時半に目が覚める。
正確には19日の早朝。
まだ外は真っ暗で虫の鳴き声、車の走る音ひとつなく静まり返っている。
こういうのを「夜のしじま」というのかもしれない。
実際、深夜2時頃までは何らかの喧騒が漏れてくる。
「しじま」と入力すると「四十万」と変換される。知らなかった。


2014.08.19 損した

京セラドームでは中日相手に大勝したタイガース。
あとは巨人の負けっぷりでも観てやるかとテレビをつける。
ヤクルトは1点差で9回裏2アウトまで巨人を追い詰めていたが、
結局、悲しいかな最下位チームの悲哀というか、
チームの得点も失点も12球団でダントツの荒っぽさというか、
ベンチでバレンティンとバーネットの小競り合いなどもあって自滅。
最後は阿部慎之助の一発を浴びてジ・エンド。
延長11回。時計の針も22時を越えていた。
残暑にくたびれている身体に、日本一、無駄な時間を過ごしてしまった。


2014.08.20 広島の土砂災害

土砂崩れが広島市北部を襲い、現在39人の犠牲が確認されている。
台風の猛威がひと息ついたとこでの突然の大災害だ。
避難指示が遅れたとのことだが、真夜中に1時間100ミリの集中豪雨。
そんな状況でどうやって避難しろというのだろう。
そもそも誰もが土砂災害に遭うなど経験したことはないはずだ。
例え山間の町に住んでいたとしても、常に防災への意識など持てるものだろうか。
「腐った土の匂い」がしたら要警戒といわれるが、
現実、豪雨で閉め切った家屋の中でそんな匂いを嗅げるものなのか。
大体、ピンポイント天気予報など、範囲の絞り込みは可能だというのに、
気象庁はもっと早い段階で集中豪雨の予測を立てられなかったものか。
最近、ちょくちょくと鎌倉を訪れる機会が増えて来て、
山に面した集落を見て、がけ崩れを漠然と思うことはある。


2014.08.21 素晴らしい

ちょっと前の話だが、「原爆の日」の中国新聞のテレビ欄。
19時からの広島-中日戦の中継に、RCCの番組枠にはこんな文句が並んでいた。
  ----------
 |カープ今夜はナゴヤド|
 |ームで強竜撃破!カー|
 |プ女子が敵地でも熱烈|
 |応援?真っ赤な左翼応|
 |援席に注目▽先発バリ|
 |できれば完投完封勝利|
 |きっと好投見せてくれ|
 |るはず▽今季RCCは|
 |平日全勝中なんです!|
 |和製大砲不在でも堂林|
 |に菊&丸コンビ▽期待|
 |感高まる田中広輔▽感|
 |謝胸に8・6野球中継|
  ----------
頭の一文字を縦読みすると “カープを応援できる平和に感謝 ” となる。
素晴らしい。率直にいいなぁ~と思う。
一方で、広島市の土砂災害は一夜明けて行方不明者数が増えている。
安否確認どころか、行方不明者が増えている混乱と過酷さは想像に難くない。
全体の把握もままならないまま、必死の救援活動が続けられているのだろう。
かなり厳しい状態だが、行方不明者がひとりでも多く救助されることを願う。


2014.08.22 言葉の羅列

人間、生きているうちで様々な喜怒哀楽がある。
いや、そんな人生みたいな話ではなく、一日単位で喜怒哀楽はある。
朝、深刻な気分で広島市の土砂災害のニュースを見て、
満員電車の立ち位置をめぐる縄張り争いにイライラし、
仕事中に時たま交される冗談話に頬を緩ませ、
昼食でたっぷり腹を満たし、大あくびして午後1時を迎える。
帰宅の電車の中で野球速報に眉をしかめながら、ならレイトにでも行くかとなり、
午前0時を回ったところでアパートについて、湯舟に浸かって「やれやれ」となる。
これが特別なことがなかった一日の平均的な出来事。
下手をすればYahoo!のトピックスをクリックする度に喜怒哀楽は訪れるか。
この「日めくり」はそんな喜怒哀楽をピックアップして書くのだけれど、
日記のようであって、日記ではない。いうなれば言葉の羅列にすぎない。
超個人的な思いや出来事はむしろ隠すことが多く、
セックスしましたなんて書かないし、トイレでちびったなんてことも書かない。
困るのは、悲惨なニュースについて書いた翌日の「日めくり」で、
変に能天気なことを書きたくなったときに困ってしまう。
これが言葉の羅列を公開していることの難しさかもしれない。


2014.08.23 百日紅の花

ふと運転席から白く鮮やかな花びらが目をひいた。
およそ花の名前には疎いので、助手席の母親に聞いてみた。
「あれは百日紅(さるすべり)」だという。
なんでも隣家の百日紅が一斉に花を咲かせたのはいいが、
我が家の玄関先まで花びらが散らかっているとぼやきはじめる。
まったく気がつかなかったが、確かに隣家の塀際に白い花が咲き誇っていた。
もちろんサルスベリという名の木は知っていた。
実際、猿は滑ることなく登れると聞いたことがあるようなないような。
決して珍しい花ではなく、アパートに帰る道すがら、方々で咲いていた。
いかにも夏空に映えそうな濃いピンク色の花びらも見かける。
近くで見ると縮れた花びらが集まって円錐を形作って、とても美しかった。
しかし今まで生きてきて、どこにでも咲いている花に気がつかなかったのだろう。
蝉しぐれ、入道雲という夏のキーワードに百日紅があってもよいのではないか。
これだけ綺麗なのに、あまり歌などに出てこないのは命名者が悪かったのだろう。
いくら綺麗な花でも、サルスベリでは恋の歌にはならん。
とにかくこの歳でようやく百日紅を知った。
身の回りにあって、存在に気が付いていない物はまだまだ多い。


2014.08.24 DVD『愛のむきだし』

今年の2月に渋谷で観た園子温監督『愛のむきだし』。
DVDではまず映画を観ない自分が、とうとうAmazonから購入してしまった。
映画DVDを買ったのは十数年前に『続・夕陽のガンマン』以来ではないか。
園子温で再び映画熱に火がついたといってもいいくらいだが、
この映画だけはぜひ身近に置いておきたくなったのだ。
そして、高校野球の準決勝の中継があったことも忘れ、
237分の本編と、135分の映像特典を一気に観た。6時間以上だ。
こういう映画なので賛否は当然だが、少なくとも自分は再び圧倒されていた。
特典映像に収録された撮影現場のメイキング映像が興味深い。
タウンページのようにぶ厚い撮影台本は、加筆されボロボロになっている。
園子温に叱咤され、あげくは罵倒されながらテイクを繰り返す満島ひかり。
「OK!」の声が上がってもしばらく立ち上がれないでいる。
彼女は「この映画に命を懸けた」という。それだけの気が全編に満ちている。
園子温も自分を追い込み過ぎて、頬がげっそりと削ぎ落ちていた。
メイキングものは好きではないのだが、下手なドキュメンタリーよりも面白い。
ここで映画評はやらないが、この映画は自分にとってもムーブメントになった。
今月30日。園子温最新作『TOKYO TRIBE』が公開される。


2014.08.25 Bluetooth スピーカー

先日買った、掌にコロンと乗るような安価なBluetoothのスピーカー。
これが今、アパートの自室でもっとも幅を利かせている家電だ。
そもそもBluetoothなる機能は何台も前の携帯電話から搭載されてはいた。
いたのだが、「赤外線通信とどう違うんだ?」くらいの認識しかなく、
ガラケーからスマホに移行する中でも “いらない” 機能のひとつだった。
前月よりTSUTAYAでCDを借りてスマホに取り込むことをやっているが、
寝床でヘッドフォンやイヤホンを耳にあてて、寝るのもなんだし、
スマホのスピーカーではあまりにも、心もとないので、
枕元に置いておく程度のスピーカーが欲しいと思っていた。
最初はケーブルでスマホに繋げるスピーカーでいいかと考えていたが、
試しにBluetoothのスピーカーを買ったところ、これが大当たり。
小型ながら音も悪くないし、スマを充電器に立てかけたままで使えるので便利。
なによりも枕元に置くのにワイヤレスがここまで有難いと思わなかった。
Bluetoothはカーナビにも連動していて、スマの音楽が車の中でも聴き放題だし、
電話もハンズフリーになるので、運転中はかなり重宝なシロモノだ。
今はYouTubeで昔のラジオドラマを聴くことにハマっている。
電気を消して枕元で、あのTBSラジオ『夜のミステリー』を聴く。
もうオモシロ、怖くて寝床に就くのが楽しみになっている。
弊害はすっかり本を読まなくなってしまったことか。
・・・ところでBluetoothって、赤外線通信とどう違うんだろう?


2014.08.26 なんじゃい!

今季のタイガースは去年の轍を踏もうとしているのか。
結果的にはサヨナラ負けだったが、勝てなかったのが悔やまれる敗戦だ。
何度か言ってきたが、こういう負け方はショックが大きい。
野球といえば夏の甲子園大会も終わった。
今年はただの一試合もフルで中継を見ずに終わってしまった。
好調だった新潟を含む北陸勢を応援していたのだが、優勝旗までは届かず、
結局、大阪桐蔭の優勝で幕を下ろして、収まるところに収まった感じ。
「桐蔭の優勝は吉兆や、阪神も続いてや~」とか言っていそうな、
大阪のおっちゃんたちのような感覚は、我々にはないのだ。
明日は戦々恐々の思いで東京ドームのゲートをくぐる予定。
首位奪還の試合か。と思いきや、下手をすれば3位陥落となる。
この落差はなんなんだろう。
今夜の試合を選ばなくて良かったと思えばいいのか、今は。


2014.08.27 東京ドームで虹を見た

虹を架けた男はマウロ・ゴメス。タイガースで4番を打つ男だ。
そう、まさに虹。天井が邪魔だったが、美しいアーチは初めて見た。
延長十回、値千金の一発というシチュエーションもさることながら、
打球音が響いた瞬間、スタンドは総立ちとなって放物線を見守った。
その虹の彼方に何が待つのかはわからない。
ただ、今夜は虹の余韻に浸らせてもらう。ありがとうゴメス。
・・・蛇足ながら、今季の東京ドーム観戦は4戦すべてに勝利して予定終了。


2014.08.28 自力優勝消滅

“虎、自力V消滅!” スポーツ紙に活字が踊る。
なんで未だにこんなアホな言葉が生き残っているのだろう。
要するにタイガースが残り試合29連勝しても、
巨人がタイガース戦を除く残り試合に全部勝ってしまうと、虎の優勝はない。
尼崎商店街のマジック100と大して変わらぬ意味のなさ。
どれくらい意味がないのかというと、
ベイスターズに自力Vの可能性が残っているというのだから笑える。
確かに今夜の敗戦は痛いが、ひとまず夏のロード勝ち越しは上出来ではないか。
本当の勝負は甲子園に帰ってから。
実はこれが毎年、一番の大問題なのだが。


2014.08.29 泡盛と朝生

職場で泡盛をロックで飲んで、
げんなりと胸やけしながらアパートに辿り着く。
睡魔が来たので、横になって、少し眠りに落ちて目が覚めたのが午前1時過ぎ。
そういえば最終金曜日は『朝まで生テレビ!』だったなとテレビをつける。
最近、まともな議論に飢えているかもしれない。最後まで見てしまった。
80歳の田原総一郎に往年の元気がなくなり、あまり盛り上がってこない。
竹中平蔵と長谷川幸洋を森永卓郎が茶番に引きずり込む展開か。
大島渚と野坂昭如が、若き舛添要一を罵倒していた頃が一番面白かった。


2014.08.30 夏休みの宿題

8月中に仕上げなければならない報告書に、ようやく手をつける。
結局、追い込まれないとケツに火がつかないことは分かっていたので、
とんだ夏休みの宿題は、最終の週末になるだろうとは検討はつけていた。
今までは分業でやっていたが、今年は一人でやらされる。盆休も2日潰した。
それにしても昨日の飲み会がまだ尾を引いて胸がムカムカする。
なんでアパートに籠ってこんなことをやらなきゃなんねぇんだとも思う。
しかし悲しいかな、ひとりで籠って仕事をやる自分のことは嫌いではない。
この性分が今のどうしようもない体たらくを招いているのだけど。


2014.08.31 『TOKYO TRIBE』と園子温

一番最初に『ヒミズ』を観たとき、「こりゃ事件だ」と思った。
続いて観た『冷たい熱帯魚』で確信に変わり、映画好き魂に火がついた。
フィルモグラフィを逆行して『気球クラブ、その後』 『紀子の食卓』と出会い、
とうとう『愛のむきだし』の洗礼を浴びたのが今年の2月のこと。
自分の2014年の映画鑑賞は、園子温抜きでは語れないだろう。
ところがここ一年で、園子温はやたらメディアに露出して知名度を上げたが、
鬼才監督からすっかり「園子温」というキャラクターに変貌したように思う。
そう、存在が事件からコマーシャルリズムに成熟してしまったのだ。
『地獄でなぜ悪い』を観た後に少し違和感があった。
今なら『自殺サークル』の衝撃ですら、コマーシャルリズムに流されるだろう。
最新作の『TOKYO TRIBE』をレイトショーで観て来たが、
もはや全編がコマーシャルリズムの権化のような作品に仕上がっている。
確かに徹底的なエンターティメントとして楽しむことは出来た。
村岡印刷さんのメーターを振り切った肉体パフォーマンスには驚いたし、
セリフの大半をラップで構成する斬新さにも、思ったほどの抵抗感はなかった。
しかし、陳腐な表現だが、自分はこういう園子温を求めていない。
昔と同じような作品を作れとはいわないが、やや残念ではあった。

                           

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