◆三行の映画評

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あのこは貴族
2021.02.27 109シネマズ グランベリーパーク:シアター6 [1200円/117分]
【40】2021年東京テアトル=バンダイナムコ 監督:岨手由貴子 脚本:岨手由貴子
CAST:門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ、佐戸井けん太、篠原ゆき子、石橋けい、山中崇、高橋ひとみ
●原作があるにもかかわらず、すっと一篇の小説を読んでいる気分になったのは章立ての構成ばかりではない。確かな鼓動を感じさせる傑作に出逢った歓びと華子と美紀の物語が凡百な格差テーマを超えて東京の物語となった瞬間、心が波立つのを感じた。「私たち東京の養分だよね」と笑う水原希子。早くも主演女優賞ものだろう。


リーサル・ストーム
2021.02.27 109シネマズ グランベリーパーク:シアター2 FORCE OF NATURE [1200円/100分]
【39】2020年アメリカ 監督:マイケル・ポーリッシュ 脚本:コーリー・ミラー
CAST:エミール・ハーシュ、ケイト・ボスワース、メル・ギブソン、デヴィッド・ザヤス、ステファニー・カヨ
●ディザスターパニックとクライムアクションとメルギブのヒーローぶりが楽しめると思ったが、どれもが中途半端。ご都合主義の連続の中でメルギブは早々に撃ち殺されてしまう。ハリケーンに足場は禁物で、せめて足場だけでも崩壊させてほしかった。ただ巨大アパートに舞台を限定した分、密度が担保された分だけ最後まで見せ切った。


ライアー×ライアー
2021.02.27 109シネマズ グランベリーパーク:シアター3 [1200円/117分]
【38】2021年アスミック・エース=ROBOT 監督:耶雲哉治 脚本:徳永友一
CAST:森七菜、松村北斗、小関裕太、堀田真由、七五三掛龍也、板橋駿、谷竹井亮介、相田翔子
●思えばラブコメディに嘘は重要な道具立てだ。『ローマの休日』なんて「ライアー×ライアー」そのもので、嘘から出た真が恋愛映画のカタルシスならばこの映画だって悪くはない。ただモノローグを氾濫させすぎて、それに森七菜が合わせてしまっているのは残念。引出し甲斐のある逸材なのに実にもったいない。まぁ漫画原作の落とし穴かな。


あの頃。
2021.02.21 TOHOシネマズ海老名:スクリーン5 [0円/116分]
【37】2021年日活=ファントムフィルム 監督:今泉力哉 脚本:冨永昌敬
CAST:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ、大下ヒロト、山崎夢羽、西田尚美
●私は断じて人を見て笑う人間ではないが、寛容と多様性が求められる世の中、映画がブサイクとオカマで笑いをとれなくなり、最後の砦がオタクだと思っていたら、それも今泉力哉によって終焉させられた。いい齢こいて中学生気分で居続けられるほど夢中になれるものを持った彼らは、仲間の死をもイベントにしてしまう。うーん、逞しい。


名探偵コナン/緋色の不在証明
2021.02.21 TOHOシネマズ海老名:スクリーン1 [1200円/94分]
【36】2021年小学館=TMS=読売=東宝 監督:山本泰一郎他 脚本:宮下隼一
CAST:(声)高山みなみ、池田秀一、日高のり子、田中敦子、森川智之、杉本ゆう、小山茉美、林原めぐみ、古谷徹
●コロナの影響で丸一年延び、急遽公開されたTV版ダイジャストは安易といえば安易。ただ劇場版より著しく絵のクォリティは劣るものの、原作を初期に卒業し、年に一度の映画を楽しみとしている程度の観客には赤井ファミリーの相関図が複雑で、最新作公開までの有難い参考ツールになった。しかも継ぎ接ぎでもそれなりに面白いのはさすが。


すばらしき世界
2021.02.14 109シネマズ グランベリーパーク:シアター1 [1200円/146分]
【35】2021年製作委員会=ワーナー 監督:西川美和 脚本:西川美和
CAST:役所広司、仲野太賀、橋爪功、梶芽衣子、六角精児、北村有起哉、長澤まさみ、安田成美、白竜、キムラ緑子
●刑務所を出た元やくざ、三上正夫という男の寄る辺なき日常に対し、どの距離で思い入れるべきなのかは迷う。性格は一本気、人懐っこい笑顔。しかしキレやすく激したら手がつけられない。ただこんな男が堅気の世界でじたばたしながら精一杯生きたことの記憶は留めたいとは思った。役所広司の熱演は嫌でも記憶に留まると思うが。


無 頼
2021.02.13 あつぎのえいがかんkiki [1000円/146分]
【34】2020年チッチオフィルム 監督:井筒和幸 脚本:佐野宜志、都築直飛、井筒和幸
CAST:松本利夫、柳ゆり菜、木下ほうか、中村達也、升毅、小木茂光、隆大介、外波山文明、三上寛、ラサール石井
●井筒は敢えて人物を深堀りせず昭和通史としてのやくざ映画を目指したのだろう。だから総花的になることは百も承知、ダイジェスト的であることも厭わないという意味で特異な映画だ。ただやくざ映画をずっと見続けて脳裏に刻まれているのは鉄砲玉たちの乱射と怒号のダイジェスト。井筒の記憶とどこかでシンクロする瞬間が楽しかった。


ガメラ2 レギオン襲来 <4KHDR>
2021.02.11 T・ジョイ横浜:シアター4 [1700円/100分]
【33】1996年大映=日本テレビ 監督:金子修介 特技監督:樋口真嗣 脚本:伊藤和典
CAST:永島敏行、水野美紀、吹越満、石橋保、藤谷文子、川津祐介、長谷川初範、螢雪次朗、渡辺裕之、沖田浩之
●ドルビー、4Kで蘇る平成ガメラ。ただ封切りで観たときほど面白いとは思えなかった。やはり5歳から映画館で観て育ってきた身として子供騙しと揶揄されようが昭和ガメラへの愛着は拭えず、変質させられた平成ガメラには違和感があり、そのことを25年経って納得した。もちろん装飾を豪華にしたこれとて前世紀の産物ではあるのだけれど。


子連れ狼 親の心子の心
2021.02.08 新文芸坐 [1150円/89分]
【32】1972年勝プロダクション=東宝 監督:斎藤武市 脚本:小池一雄
CAST:若山富三郎、富川晶宏、林与一、山村聰、東三千、岸田森、小池朝雄、田中浩、遠藤辰雄、内田朝雄、関山耕司
●クライマックスは殆ど戦国時代の合戦。しかも軍勢に立ち向かうは拝一刀と大五郎の親子だけ。もはや何でもありで行き着くところに行ってしまった感もあり、これでは巨匠・宮川一夫のカメラも刺客親子の冥府魔道の道行きを撮りあげる余地はなかったか。ただ邦画各社のクセ者たちが顔を揃える中、これぞ富三郎の真の代表シリーズと確信。


子連れ狼 死に風に向かう乳母車
2021.02.08 新文芸坐 [ 〃 /89分]
【31】1972年勝プロダクション=東宝 監督:三隅研次 脚本:小池一雄
CAST:若山富三郎、富川晶宏、加藤剛、浜木綿子、山形勲、水島道太郎、中谷一郎、伊達三郎、草野大悟、名和宏
●スタッフは大映、主演スターは東映、配給は東宝。もはや猥雑ともいえるハイブリットな状況は愈々カオスとなって、サービス精神はインフレの一途を辿る。これは一観客として感謝すべきなのか?刺客500両の報償は乳母車の武装に費やされ、装填された機関銃で撃ちまくる拝一刀。ついには清廉なイメージしかない加藤剛の首まですっ飛ばす。


子連れ狼 三途の川の乳母車
2021.02.07 新文芸坐 [1150円/85分]
【30】1972年勝プロダクション=東宝 監督:三隅研次 脚本:小池一雄、小島剛夕
CAST:若山富三郎、富川晶宏、松尾嘉代、大木実、岸田森、小林昭二、新田昌玄、松本克平、江幡高志、鮎川いづみ
●砂丘を編み笠の集団が走るだけでワクワクするも、香港カンフー映画がドッと入ってくる以前にここまで旺盛な殺戮ショーを展開する日本映画があったことに驚く。大映時代劇のエースの誉れをかなぐり捨てるが如し三隈研次の弾けっぷりはどうしたものか。この脚本コンビからして劇画そのものだが、若山の殺陣をたっぷり拝めるだけで眼福。


子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる
2021.02.07 新文芸坐 [ 〃 /85分]
【29】1972年勝プロダクション=東宝 監督:三隅研次 脚本:小池一雄
CAST:若山富三郎、富川晶宏、渡辺文雄、真山知子、露口茂、内田朝雄、内藤武敏、加藤嘉、笠原玲子、伊藤雄之助
●面白かった!シネスコ大画面狭しと血沸き肉躍るどころか勢い余って血沫噴射し肉塊転がる、若山畢生の豪快時代劇。スプラッタ時代劇などと揶揄されようが観客が喜びそうなことを全部やる潔さ。そして元公儀介錯人・拝一刀の殺陣の凄まじさ素晴らしさ。格的に張り合えそうな渡辺文雄、露口茂を早々に血祭りとし、無頼がたむろう郷森宿へ。


KCIA 南山の部長たち
2021.02.06 横浜ブルグ13:シアター13 남산의 부장들 THE MAN STANDING NEXT [1200円/114分]
【28】2019韓国 監督:ウ・ミンホ 脚本:イ・ジミン
CAST:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン、キム・ソジン、ソ・ヒョヌ、ジ・ヒョンジュン
●朴大統領暗殺事件の映画化。サスペンスとしての面白さはあったが光州事件以前の韓国の近代史に疎すぎてポリティカルな部分が見えず、金部長が暗殺に至った動機は朴正煕との革命への郷愁と現実との乖離としか読めなかった。米国とのパワーバランスが興味を惹いたものの、ひたすらイ・ビョンホンの耐え忍ぶ表情ばかり追いかけていたか。


花束みたいな恋をした
2021.01.31 109シネマズ グランベリーパーク:シアター2 [1200円/136分]
【27】2021年製作委員会=フィルムメーカーズ 監督:土井裕泰 脚本:坂元裕二
CAST:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、瀧内公美、佐藤寛太、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了
●丸4年かけたカップルの感情曲線。自分が監督だったらこのシーンはこう描く、ここはカットする、ここは少し感情を入れたい。観ながらこんなことを考えていた。そういう余地のある映画は楽しい。オリジナル脚本の勝利だ。ふたりのカップルが醸す空気感に巻き込まれながら、結婚するか別れるか、結局、恋愛に勝るものなしと得心した。


ヤクザと家族 The Family
2021.01.31 109シネマズ グランベリーパーク:シアター3 [1200円/136分]
【26】2021年KADOKAWA=vap 監督:藤井道人 脚本:藤井道人
CAST:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗、駿河太郎、岩松了、豊原功補、寺島しのぶ
●暴対法施行以後のヤクザの実情を映画で初めて見た。極道が反社と呼ばれるようになり、時代の不条理と理不尽に疲弊し、憔悴してゆく。『新聞記者』の監督らしい切り口だが、ジャンル映画としてのひな形をきっちりと踏まえたうえで、「こんな生き方しか出来ない」ヤクザ者の憤りと悲しみを描き切っている。まさに熱い血が滾る一篇。


名も無き世界のエンドロール
2021.01.31 109シネマズ グランベリーパーク:シアター1 [1200円/101分]
【25】2021年エイベックス=共同テレビ 監督:佐藤祐市 脚本:西条みつとし
CAST:岩田剛典、新田真剣佑、山田杏奈、中村アン、石丸謙二郎、大友康平、柄本明、島田裕仁、宮下柚百、豊嶋花
●原作ありきの映画なのだろうが「ラスト20分、あなたは心奪われる―」予告編でも使われていたが、この手の先入観を植えつけるコピーは止めてもらいたい。ただ「あぁなるほど」とは思った。過去と現在を交錯させるも、少年時代の映像に厳しさがないので、全体的に温い印象。岩田&真剣佑の真ん中に山田杏奈はやや座りが悪かったか。


Love Letter
2021.01.30 新文芸坐 [1150円/117分]
【24】1995年ヘラルド=フジテレビ 監督:岩井俊二 脚本:岩井俊二
CAST:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇、范文雀、篠原勝之、加賀まりこ、鈴木蘭々、中村久美、塩見三省、光石研
●ビデオで観て、いつかはシネスコの大画面で思いながら年月が過ぎた。今回の文芸坐の最大目玉に据えていたのだが、意外と平板な印象に「あれ?」となった。カメラワークと構成力で見せ切る映画なのにまったく心に響いてこない。出席番号を暗記していた浜口先生と図書カードの道具立ては好きだが、中山美穂への苦手意識は払えなかった。
※1995年キネマ旬報ベストテン第3位


ラストレター
2021.01.30 新文芸坐 [ 〃 /121分]
【23】2020年ロックウェルアイズ=東宝 監督:岩井俊二 脚本:岩井俊二
CAST:松たか子、福山雅治、広瀬すず、森七菜、神木隆之介、庵野秀明、木内みどり、小室等、中山美穂、豊川悦司
●昨秋に『チィファの手紙』を挟んでちょうど一年。今度は最初から天国からの“美咲”目線で彼らの物語を見る。多少、物語や心情描写に綻びが散見されるも、そこは美咲の恣意的なコントロールなのだと思うと納得がいった。美咲の想いは乙坂の小説家としての再生であり、それは最後に卒業式の答辞を歩美に託すことで完結する。大好きだ。


花とアリス
2021.01.26 新文芸坐 ー125分]
【22】2004年ロックウェルアイズ=東宝 監督:岩井俊二 脚本:岩井俊二
CAST:鈴木杏、蒼井優、郭智博、坂本真、相田翔子、平泉成、木村多江、広末涼子、大沢たかお、阿部寛、ルー大柴
●果たして女の子の感性をそのまま風景の中に溶け込ませるテクニックで岩井俊二を超える者がいるのだろうか。宮本先輩をめぐる花とアリスの三角関係など物語の進行であって実はどうでもよく、女の子ふたりのバディ感がたまらなく面白い。『ブックスマート』のようでもあるが、最後の蒼井優の天晴なバレエが全部持って行ってしまった。


スワロウテイル
2021.01.26 新文芸坐 [ 〃 /149分]
【21】1996年ロックウェルアイズ=フジテレビ=ヘラルド 監督:岩井俊二 脚本:岩井俊二
CAST:Chara、伊藤歩、三上博史、江口洋介、アンディ・ホイ、渡部篤郎、桃井かおり、山口智子、大塚寧々、洞口依子
●もう四半世紀近く経ったか。公開当時、妙なコマーシャリズムに岩井俊二の作家性が埋没してしまった印象だったが、猥雑な喧騒と乾いた暴力性を構築した堂々たる力作。確かに架空のイエンタウンを想像したことで、ディストピア化された中で起こる事件のなんでもあり感は否めないが、それでも内包する凶暴性とキレ味は色褪せてはいない。


四月物語
2021.01.25 新文芸坐 [1150円/67分]
【20】1998年ロックウェルアイズ 監督:岩井俊二 脚本:岩井俊二
CAST:松たか子、田辺誠一、留美、江口洋介、津田寛治、加藤和彦、石井竜也、伊武雅刀、松本幸四郎、市川染五郎
●上京したての女子大生の最初のひと月の小さな冒険。当時、天才と呼ばれていた映像クリエーター・岩井俊二がひたすら松たか子を愛でた67分。そこで獲得した雨の中、壊れた赤い傘の松たか子の表情。思わず見とれてしまった。私も松たか子を愛で続けることに一切の退屈はなく、岩井の創造した絵の中の彼女をもっと見ていたかった。


燃ゆる女の肖像
2021.01.24 川崎市アートセンター アルテリオ映像館 PORTRAIT DE LA JEUNE FILLE EN FEU [1100円/122分]
【19】2019年フランス 監督:セリーヌ・シアマ 脚本:セリーヌ・シアマ
CAST:アデル・エネル、ノエミ・メルラン、ルアナ・バイラミ、ヴァレリア・ゴリノ
●二度目の観賞。前回は視線の交錯に気をとられすぎていた。マリアンヌの「最後に彼女と会ったのは~」のナレーションも気になっていた。もしやエロイーズは亡くなっていたのかと。なぜ二人は視線を交わさず終わったのか。オルフェの行動に習ったのか。しかし圧巻のラスト、ヴィバルディに落涙したエロイーズは微笑んでもいたのだ。
※2020年キネマ旬報ベストテン第3位


この世界に残されて
2021.01.24 川崎市アートセンター アルテリオ映像館 AKIK MARADTAK [1100円/88分]
【18】2019年ハンガリー 監督:バルナバーシュ・トート 脚本:バルナバーシュ・トート、クララ・ムヒ
CAST:カーロイ・ハイデュク、アビゲール・セーケ、マリ・ナジ、カタリン・シムコー、バルナバーシュ・ホルカイ
●42歳の中年医師と16歳の少女の同居生活。映画の演出、技術、物語、演技など観たままの感想なら書ける。しかしホロコーストが前提となると、どうしてもつきまとう他国感。これがあると作品の表層をなぞるだけで本質には踏み込めない。踏み込もうとしてもハンガリーのユダヤ人殺害50万以上の事実の前に躊躇する。もう仕方がないのか。


エマの秘密に恋したら
2021.01.23 イオンシネマ座間:スクリーン8 CAN YOU KEEP A SECRET? [1100円/94分]
【17】2019年アメリカ 監督:イリース・デュラン 脚本:ピーター・ハッチングス
CAST:アレクサンドラ・ダダリオ、タイラー・ホークリン、スニータ・マニ、デイヴィット・チャールズ・エバーツ
●他愛ない恋愛成就もので、肝心の「秘密」も実に他愛ない。しかしこういう映画は嫌いになれない。むしろ好物だ。素直にヒロインを応援したくなる。一方で王道のシンデレラストリーの隙間に放り込んでくる下ネタにも笑ってしまった。本当は「満場の観客と一緒に大笑いした」と記憶に残したかったが、残念ながら「貸切り」だった…。


さんかく窓の外側は夜
2021.01.23 イオンシネマ座間:スクリーン3 [1100円/102分]
【16】2020年ワタナベエンター=ハピネット=松竹 監督:森ガキ侑大 脚本:相沢友子
CAST:志尊淳、岡田将生、平手友梨奈、滝藤賢一、筒井道隆、マキタスポーツ、新納慎也、桜井ユキ、和久井映見、北川景子
●ホラーサスペンスの体で、累々たる惨劇描写や死体損壊は旺盛だが観客を怖がらせようとはしていない。映画の半分は岡田将生が志尊淳を背中から抱いて胸に手を当てるホモセクシャルなビジュアルで魅せようとしている。それではイケメン萌えの女子でもゲイでもないこちらは残り半分を楽しむしかないが、さすがにこのストーリーでは無理。


43年後のアイ・ラブ・ユー
2021.01.17 横浜ブルグ13:シアター5 REMEMBER ME [1200円/89分]
【15】2019年スペイン=アメリカ=フランス 監督:マーティン・ロセテ 脚本:マーティン・ロセテ
CAST:ブルース・ダーン、カロリーヌ・シオル、ブライアン・コックス、セレナ・ケネデ、シエンナ・ギロリー
●ブルース・ダーンがこんな上手に齢をとるとは思わなかった。とりわけ笑顔が最高。同じアムロジピンを処方されているのが嬉しくなるほど。老人介護の現場が甘いものではないことを知っているし、アルツハイマーが簡単に完治しないことも知っている、でも彼の笑顔につられて微笑んでしまう。まさしく愛すべきファンタジー。


恋する遊園地
2021.01.17 横浜ブルグ13:シアター8 JUMBO [1200円/94分]
【14】2019年フランス=ベルギー=ルクセンブルク 監督:ゾーイ・ウィットック 脚本:ゾーイ・ウィットック
CAST:ノエミ・メルラン、エマニュエル・ベルコ、バスティアン・ブイヨン、サム・ルーウィック
●いくらなんでも描き方ってものがあるだろう。ティーンムービーのラブコメチックな邦題もひどいが、主人公もその周辺のキャラクター造形が浅すぎる。まず「対物性愛」を観客にリアルなこととして説得する気はゼロ。映画学校の卒業制作もどきの作り手たちは女の子を脱がしまくった挙句、軽くポップにファンタジーとして描く。有り得ん。


聖なる犯罪者
2021.01.17 横浜ブルグ13:シアター10  BOŻE CIAŁO [1200円/115分]
【13】2019年ポーランド=フランス 監督:ヤン・コマサ 脚本:マテウシュ・パツェヴィチ
CAST:バルトシュ・ビィエレニア、エリーザ・リチェムブル、アレクサンドラ・コニェチュナ、トマシュ・ジィェンテク
●ダニエルの行動原理は衝動的だが、揺らぎながらはっきり光を求めている。しかし求道者は自己陶酔の罠に囚われ、やがて空洞化してゆく。映画は悪にも善にも振り切れない青年の、心の空洞を描き切る。結局、空洞を埋めたのは暴力。ダニエルにとって肉体への直接的な痛みこそ、神の存在を凌駕するものだった。間違いなく秀作の一言。


ウルフウォーカー <日本語吹替版>
2021.01.16 あつぎのえいがかんkiki WOLFWALKERS [1000円/103分]
【12】2020年アイルランド=ルクセンブルク 監督:トム・ムーア、ロス・スチュアート 脚本:ウィル・コリンズ
CAST:(声)新津ちせ、池下リリコ、井浦新、櫻井智、西垣俊作
●昨年のベストワンを吹替えで。改めて考えうる対立事象のすべてを描きながら、ふたりの少女の冒険として浮かび上がらせる圧倒的なアニメーション表現。そして、浮かび上がる対立事象の究極が「史実と寓話」。かくも物語の力は偉大なのだ。新津ちせちゃん、オリジナル版は16歳の声優なのに、きちんと世界観を掴んでいて本当に達者で。


AWAKE
2021.01.11 小田原コロナシネマワールド:スクリーン5 [1200円/98分]
【11】2020年キノ・フィルムズ 監督:山田篤宏 脚本:山田篤宏
CAST:吉沢亮、若葉竜也、落合モトキ、寛一郎、馬場ふみか、川島潤哉、永岡佑、森矢カンナ、中村まこと
●9×9のマス目、36.4cm × 33.3cm。この距離感で衆人注視の中、相手の息遣いを意識しながらの勝負など、素人の私には想像を絶する世界だが、駆け引きの効かない得体の知れぬAIと対峙する棋士の心境はどういうものだろう。対局の視点が人間側ではなくAI側というのがユニークではあったが、主人公のあまりの “童貞感” 嫌気がさした。


トータル・リコール <デジタルリマスター版>
2021.01.11 小田原コロナシネマワールド:スクリーン6 TOTAL RECALL [1200円/93分]
【10】2019年アメリカ 監督:ポール・バーホーベン 脚本:ロナルド・シュセット、ダン・オバノン、ゲイリー・ゴールドマン
CAST:アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド
●それほど昔の映画という認識がなかったものだから、観ていくうちに色々と思い出すだろうと思っていたが、殆どの場面を忘れていた。そうか公開から30年。あれから倍も齢をとるとはこういうことなのかと妙な感慨。結構驚いたのが、ほぼ全編でシュワちゃんが追手をかわす場面の連続だったこと。バーホーベンのキレ味は経年に耐えていた。


ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
2021.01.11 小田原コロナシネマワールド:スクリーン4 MISSING LINK [1200円/93分]
【09】2019年カナダ=アメリカ 監督:クリス・バトラー 脚本:クリス・バトラー
CAST:(声)ヒュー・ジャックマン、ゾーイ・サルダナ、ザック・ガリフィアナキス、スティーヴン・フライ、エマ・トンプソン
●前作『KUBO/クボ』の目まぐるしさにすべてを消化できないもどかしさもあり、今度こそは思いながら観た。そんなこんなで、海外のアニメスタジオではライカとカートゥーン・サルーンは観賞必須と決めているが、おっさんの成長物語が子供に受け入れられず本国で大コケしたのは残念。唯一無二のスタジオだけに心配だ。大丈夫かライカ。


おとなの事情
2021.01.10 新宿シネマカリテ PERFETTI SCONOSCIUTI [1100円/96分]
【08】2016年イタリア 監督・脚本:パオロ・ジェノベーゼ 脚本:フィリッポ・ボローニャ、パオロ・コステラ
CAST:ジュゼッペ・バッティストン、アルバ・ロルヴァケル、ヴァレリオ・マスタンドレア、アンナ・フォッリエッタ
●日本版の翌日、カリテの凱旋上映に駆けつけた。舞台劇風などとんでもない。矢継ぎ早のカットにカメラ移動、はっきり映画だった。パーティが修羅場と化す迫力は段違いに凄い。ただ日本版がいかに微に入り細に入り親切に物語を展開させていたことも分かった。本国版の何もかも月蝕の終了で終わらせてしまったのにはやや不満が残った。


おとなの事情 スマホをのぞいたら
2021.01.09 イオンシネマ座間:スクリーン8 [1100円/101分]
【07】2020年ソニー=共同テレビ 監督:光野道夫 脚本:岡田惠和
CAST:東山紀之、鈴木保奈美、常盤貴子、益岡徹、田口浩正、木南晴夏、淵上泰史、室龍太、桜田ひより、青木和代
●イタリア本国版は観ていないが、ワンシチュエーションものなら舞台劇風な仕上がりは変わらないだろう。ただアバンタイトルから波乱含みである必要はあったか。普通のパーティが徐々にエスカレートし、カタルトロフィになっていくメリハリが欲しかった。他にもまだまだツッコミどころは少なくないが、結構楽しく観ていたのも確かかな。


声優夫婦の甘くない生活
2021.01.06 新宿武蔵野館 GOLDEN VOICES [1100円/88分]
【06】2019年イスラエル 監督:エフゲニー・ルーマン 脚本:エフゲニー・ルーマン、サンチャゴ・アミゴレーナ
CAST:ウラジミール・フリードマン、マリア・ベルキン、エヴェリン・ハゴエル、アレクサンダー・センデロビッチ
●ソ連崩壊時に大量のユダヤ系ロシア人がイスラエルに渡った事実は知らなかった。ならばフセインのガスマスク以外にもっとカルチャーギャップを描いて欲しかった。とにかく旦那が好きになれない。我を通すのはいいが、それが横暴だったり独りよがりだったりと、まるで共感出来ない。妻のラヤの恋のアバンチュールの方が絶対に面白い。


醉いどれ天使
2021.01.03 新文芸坐 [1200円/98分]
【05】1948年東宝 監督:黒澤明 脚本:植草圭之助、黒澤明
CAST:三船敏郎、志村喬、山本礼三郎、中北千枝子、木暮実千代、千石規子、殿山泰司、堺左千夫、久我美子、笠置シヅ子
●40年前、並木座の最前列。とにかく三船敏郎の印象が強烈だった。木造バラックのマーケット、鉄道の橋梁、メタンガスが噴く沼地、ダンスホール、一杯飲み屋、真夜中のギター、ウィスキー。やくざの縄張りという狭い路地を狼と子羊を同居させながら、肩で風切り、酒に溺れ、病魔にのたうつ三船。戦後日本映画の青春を感じさせる一篇。
※1948年キネマ旬報ベストテン第1位


新 感染半島 ファイナル・ステージ
2021.01.02 イオンシネマ座間:スクリーン9 반도 PENINSULA [0円/116分]
【04】2020年韓国 監督:ヨ・サンホ 脚本:ヨ・サンホ、リュ・ヨンジェ
CAST:カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドゥユン、イ・イェオン
●堂々たる世界視野のホラーアクション。もちろん粗削りな個所は散見されるが、そもそもゾンビ映画に理屈は要らないと、凄まじいスピードとまがまがしいまでのアクションで行き着くところまで行かれると、あからさまに泣かせにかかる場面も素直に感動してしまう。もはや彼らには日本映画など眼中にないはずで、悔しいがこれが現実だ。


映画 えんとつ町のプペル
2021.01.02 イオンシネマ座間:スクリーン1 [1100円/100分]
【03】2020年東宝=吉本興業=STUDIO4℃ 監督:廣田裕介 脚本:西野亮廣
CAST:(声)窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子、藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、飯尾和樹、宮根誠司、國村隼
●予告編の時からこのアニメには引っ掛かるものを感じていた。キンコン西野の原作童話の映画化だったと観賞後に知る。映画を観たというより遊園地のアトラクションに乗ってきたような気分だったが、あまりに真っ直ぐなメッセージにきっと子供も素直に感動するのだろうと思うと、野暮なレヴューは難癖になりそうなので不要なのか。


悪い奴ほどよく眠る
2021.01.01 新文芸坐 [1200円/113分]
【02】1960年東宝=黒沢プロ 監督:黒澤明 脚本:小国英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
CAST:三船敏郎、森雅之、志村喬、香川京子、三橋達也、加藤武、西村晃、藤原釜足、山茶花究、藤田進、笠智衆、宮口精二
●劇場未見だった。大手ゼネコンと公団の汚職に伴う人間性の喪失。小難しそうなイメージで勝手に敬遠してきたのだが、何てことはないどっぷり娯楽作品だった。黒澤映画らしい演者の緊張感が見応えあり。ただあの時代の限界だったのか巨悪の正体を暴くまでに至らず、三船の復讐劇に落とし込んでしまい軽さが残ってしまったか。
※1960年キネマ旬報ベストテン第5位


バクラウ 地図から消された村
2021.01.01 シアター・イメージフォーラム BACURAU [1200円/131分]
【01】2019年ブラジル=フランス 監督・脚本:クレベール・メンドンサ・フィリオ、ジュリアーノ・ドルネレス
CAST:ソニア・ブラガ、ウド・キアー、バルバラ・コーレン、トマス・アキーノ、シルベロ・ペレイラ、カリーヌ・テレス
●狩られるはずの閉鎖的な村が狩る者をほぼ一方的に一掃する。次々と並べられる生首。まさに躊躇なしの逆説バイオレンス。しかし外敵と闘い続けた村の歴史・伝統の前に狩られていく急ごしらえの殺戮ユニットの無様さはどこか痛快でもある。ジャンル映画なのだろうが、第三国のインディーズ映画らしいいかがわしさが癖になる一作だ。



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