■2014.05

日めくり 2014年05月(平成26年)         



2014.05.01 名台詞

小津安二郎『出来ごころ』での名台詞。
・・・いや無声映画なので字幕で名フレーズがあったというべきか。
父、喜八が息子の富雄に笑いながらいう。
「いやなのにガマンして本を読むから勉強になるんだ
チャンだっていやなのに工場行って働くからお給金が貰えるんだ」
なんか、ごもっともな矜持をいただいた。


2014.05.02 いも焼酎

先週末からゴールデンウィークが始まったのだというが、
間に平日が4日間もあったのだから、大型連休の実感は明日からだろう。
明日、明後日は池袋に小津安二郎を観てから神宮でスワローズ戦を観る。
残り二日は実家で親とGWを過ごす予定。
その前日、会議の後に恒例の飲み会となった。
ようやく奈良ホテルで買った奈良漬の封を切ったのだが、なかなか旨かった。
今度はぜひ炊きたてのご飯で食ってみたい。
最初から最後まで焼酎を炭酸で割って飲んだのだが、
まだ旨い焼酎とそうでない焼酎の区別がわからない。
わかりたかったら炭酸で割るなといわれた。それはごもっともだろう。
酒飲みにはなれないが、焼酎の蘊蓄をかたむける男にちょっとだけなりたい、かな。


2014.05.03 憲法記念日

去年の「日めくり」を読むまでもなく、
去年の今頃は憲法改正論議がメディアのあちこちで喧しく議論されていた。
私は改憲論者だが、それはひとえに解釈で憲法が運用されのを良しとしないからだ。
ところが今年は「改憲」ではなく「解釈」に議論の中心が移ってしまった。
争点は集団的自衛権だが、たかが解釈の変更で若者を戦地に送れますか?ということ。
個人的には個別自衛権は憲法の範囲内で、集団自衛権ははっきり違憲だと思っている。
少なくとも解釈論議ほど馬鹿馬鹿しくも危ういものはない。


2014.05.04 鬼門回避?

子供のころ、親父に初めて連れて行ってもらったのが神宮球場だったか。
それ以来、40代に入ってもこの球場ではまったく勝てなかった。
長い間、梶間や安田という虎キラーたちに三振の山を築かれ、
野村ヤクルトの時代になると完全にコケにされてまるで歯が立たなかった。
1985年の優勝のときにも神宮にいたが、あの試合でさえ引き分け試合。
何せ初勝利が井川が投げて、金本、濱中の一発で辛勝した2003年だというのだから、
それまでどれだけ神宮で死屍累々の黒星を積み重ねてきたものだろう。
そのあと若松、古田の時代のヤクルトにはまあまあ成績は悪くなかった。
神宮での戦績でタイガースがそこそこ強くなったという実感を得ることが出来た。
ところが2010年代に入ってから神宮観戦2勝10敗。
また勝てなくなってきた。昨日はエースの能見で落として、またも鬼門復活かいなと。
今夜は快勝だった。ローテの谷間を安藤、福原、呉が完璧に守り切って、
代打策がズバっと当たった。会心の勝利にホッと胸を撫で下ろした一日だった。
明日も頼むぜよ、メッセンジャー。


2014.05.05 見舞い

脳梗塞で倒れた叔母のリハビリ入院が長期化している。
もうかれこれ一年半になるだろうか。
気の毒でたまらないのだが、3人目の孫が生まれた。
悪いことばかりじゃないと頑張ってほしい。


2014.05.06 もう親孝行じゃないな

一日中、母親と園芸店回りの運転手。
山野草の知識ゼロの自分には雑草との区別がつかない。
花は咲くのか?と聞くと、「これは葉っぱを楽しむもんだ」という。
申し訳ないが親父も自分もこの趣味にはどうしても興味を持てない。
母親がいなくなった時、庭を埋めた膨大な植木はどうすればいいのだろう。
まさか処理に困るからこれ以上買うなともいえないし、
これも親孝行だと思いつつ、もはや義務なんだろうなと思う。


2014.05.07 タりぃ

GWが終わって日常に戻る。
朝、7時台に2本しかない準急に飛び乗って通勤だ。
ダイヤ改正前はこの時間は急行だったのに準急になってしまった。
この歳になってGW明けがかったるいなど書くだけ情けないことだが、
タりぃもんはタりぃ、タりぃんだからしょうがない。
思えば、きちんと定時に上がれる職場であり、売上に一喜一憂しなくてもいい職場だ。
馘首になれば別だが、何事もなく愛想笑いに勤めていれば給料は貰える。
まったくやりがいを見出すのが難しく、ともすれば心が折れそうになるが、
では今からすべてをリセットすることが出来るのかといえば、多分出来ない。
辞めれば、あの仕事は楽だったのになぁと後悔することも目に見えている。
最悪だぜ、昔からタイガースが惨敗するとこんな気分になる。
背筋を伸ばして、燃えてみろ、熱くなれ、男。


2014.05.08 たはっ

昨日、書いた文章を読んでみて、これじゃ五月病みたいだと思った。
たはっ、五月病なんかにかかるかよ。この歳で。


2014.05.09 焼酎お湯割り梅干落としで

別フロアで軽く残業してメインフロアに戻るとぷ~んと酒の匂いが。
例によっておっさんたちが焼酎のコップを傾けていた。
とっとと帰れば良かったのだが、「一杯だけ」とコップが差し出される。
「あと一杯」「もう一杯」で、結局、夜の10時まで焼酎を煽ることとなった。
わざわざ鹿児島から取り寄せたという焼酎は胃ばかりではなく頭も燃えてくる。
「ま、明日は休みなんだから」といわれたが、
明日が休みだからこそとっとと帰りたいのが当世の若者気質というものだ。
誰が若者だって?環境が変わるのは恐ろしいことで、
前職でのおっさん扱いが、ここに来てから一気に若造扱いとなる。


2014.05.10 アナと雪の女王と穴に落ちたタイガース

両親と過ごし、地上波で中継があったので巨人戦を観て、帰りにレイトに滑り込んだ。
虎は緑色の異形なユニフォームで、まるで他所のチームを観ているようだ。
最後の最後で層の違いというか底力の差を見せつけられたようで非常に気分が悪い。
その点、レイトショーで観たディズニーアニメ『アナと雪の女王』は素晴らしかった。
いや甲子園の野球とディズニーを比べても仕方ないのだが、
どちらがエンターティメントとして完成されたものか明白だった。
字幕で観るか吹替で観るかは迷うところではあったものの、
絵のスペクタクルを字幕スーパーを気にせず堪能したかったので吹替を選択した。
もちろんミュージカルを吹替で観ることの危惧はあった。
日本語は美しい言語かもしれないが、一音に一文字しか乗せられない欠点がある。
「♪let it go~let it go」は「♪ありの~/♪ままで~」と乗せるしかないのだ。
それでも訳詞の欠点を歌唱の頑張りでカバーしていたのではないか。
ディズニーランドを後にした時の上質なショービジネスに触れた昂揚感そのままに、
映画館を出た時の気持ちよさはまさにエンターティメントの洗礼だった。
さて気になるもう一方のエンターティメントの方は、
・・・まず勝ちなさい。ということだ。

2014.05.11 日曜日

母の日のご奉仕は昨日済ませたということで、今日は一日フリー。
ずっとサボっていた布団シーツの洗濯や、浴槽の掃除などを昼までに片付ける。
今日は午後2時からテレ朝で野球中継があり、
矢野、下柳、桧山の解説を楽しみながら白熱の投手戦を前がかりになって観戦。
タイガースの勝利を確認してから、夜は予約していたレイトショーへ行く。
実は今年に入って休日をアパートに籠って一日を過ごしたことはない。
いや、別に休日を有効に過ごそうなんて気はないのだが、
一日ダラダラと過ごすと、何かもったいないなと思うようになった。
もしかすると週末の実家帰りがメリハリになっているのかもしれない。


2014.05.12 精米

「コメがない」と実家からSOS。
新潟から送ってもらってんだろと聞くと、玄米のままなのだそうな。
別に玄米で炊いた方が年寄りには健康にいいじゃねぇかと思いつつ、
結局、仕事帰りに実家に寄り、米屋で精米してもらう。
実は平日の方が最終バスが遅くまで運行しているので晩飯はゆっくりできる。
そうなるとやはり玄米より精米したての白米が食いたい。
実家に定期的に行くようになって体重が85キロを超えてしまった。


2014.05.13 通勤電車の交々

職場自体が一日中座りっぱなしの仕事なので、電車で座ろうとは思わないが、
出来ればカバンを網棚に乗せて進行方向右側ドアの端のポールに寄りかかりたい。
途中駅でドアが開く回数が少なく、渋谷駅での乗り換えポイントでもあるからだ。
毎朝、そのポールポジョン(!)をめぐって争奪戦となる。
これが結構ムキになる。自分などさぞ他の乗客たちの恨みを買っているだろう。
都会の通勤に慣れていない学生がDパックを背負ったまま乗ってくる。
高校生の集団は男女ともバッグを床に置いて足元のスペースを奪う。
タブレットを使う連中もそこそこ空間をとるから邪魔。
迷惑乗車の定番であるヘッドホンからの音漏れほど頭に来ることはない。
車内アナウンスで「お客様救護のため」は貧血か下痢だろうし、
「お客様対応のため」はおそらく喧嘩か痴漢なのだろう。
「線路への立ち入り」は飛び込み自殺かもしれない。
電車が遅れだすと必然的にホーム待ちの乗客も増えて、ラッシュが膨らむ。
今朝はそれで渋谷到着が30分以上も遅れた。
多分、一日の労働体力の半分は朝の通勤で持っていかれているのではないか。


2014.05.14 天麩羅の油

最近、10日に一回の頻度で讃岐うどん屋に行く。
丸亀製麺。調べたら本社は神戸だった。なんだ本場の讃岐じゃないじゃんか。
こちらは蕎麦文化なので自分は蕎麦派なのだが、蕎麦とうどんはまったくの別物。
そもそも駅の立ち食いなどで蕎麦とうどんが一緒に扱われるのが間違いの元で、
両方に同じ汁を使うという馬鹿げた話が、関西人の誤解の温床になっている。
しっかりした濃味と濃厚な出汁でなければ野趣に富む蕎麦は受け止められまい。
大阪のうどんの汁で果たして蕎麦が食えるかって話だ。
まぁ蕎麦とうどんの味比べは今はいい。しっかりとコシの利いたうどんも好物だ。
今夜はカケの冷を注文した。実はカケの冷とぶっかけの冷の区別がわかっていない。
そして玉ねぎと茄子の天麩羅をふたつ食ってすっかり油にやられてしまった。
結局、胃腸のため天麩羅はどちらかにした方がいいという話でした(なんじゃ)。


2014.05.15 鹿

万城目学・著『鹿男おをによし』を完読。
思わず興福寺、春日大社、東大寺に群れていたシカたちが愛おしくなる。
ときには神の化身、ときには獲物、ときには害獣。
人間の勝手な都合でイメージが二転三転しながら、
牛馬や、羊、山羊ほど人の役に立っているわけでもない。
鹿せんべいに首を縦に振りながら近づいてくる可愛さと鬱陶しさ。
食うだけ食っておいて、去り際にあいさつ替わりのフンを発射する。
何とも腹が立つのだけど、どこか憎めない。
今年の干支を忘れ去せるくらい、この春はシカで始まりシカで終わった。


2014.05.16 いつも客席にはおっさんばかり

仕事帰り、オープンしたばかりの最新シネコンに寄る。
映画のデジタル化が進んで、DLPによる上映がすっかり定着した。
サイレントからトーキー、モノクロからカラーへと変わるときも抵抗はあったろう。
デジタル化のメリットが映画に計り知れない恩恵をもたらせていることも知っている。
だからいつまでもフィルムこそ映画の魅力だなどというのはもう止めよう。
恩恵のひとつに古い映画がDLPによってスクリーンに復活する機会が増えたこと。
フィルムの消滅が劇場鑑賞の機会を喪失されるという危惧は杞憂だったようだ。
35年前の『ルパン三世・カリオストロの城』を再びスクリーンで楽しみ、
絶対に劇場で!とビデオに手を出さなかった『レオン』を観る。
しかし先日の盛況のうちに上映を終えた小津安二郎の特集といい、
古い映画の上映はおっさんばかりで客席が埋まる。
昔の名画を懐かしんで若い頃の思い出に浸るという情緒は女には希薄なのか。
貪欲に新しいものに飛びつく女性陣に慄きながら、おっさんたちは昔の夢を見る。


2014.05.17 ありがとう鈴木則文

例によってYahoo!のトピックスに訃報の見出しが載る。
映画監督・鈴木則文。とうとうこの人も鬼籍に入ったか。
高校時代、この人の映画など観てないでもっと勉学に励んでいたら、
もう少しマシな大学に行けて、もっと真っ当な人生を歩んでいたのにと思う。
沢山のロクでもない宝物をありがとう。安らかにお眠りください。


2014.05.18 途中のニュース

情報は収集するものではなく、激しく取捨されるもののようだ。
今、国内のニュースは集団的自衛権の解釈変更一色かもしれないが、
それで世論が沸騰しているのかといえば、どうなのだろう。
あれだけ大モメにモメたPPT交渉では日米が歩み寄ったという話だが、
道筋がついたとの報道は聞くものの、その妥協の内容が一切入ってこない。
シリアのアサド政府軍と反政府軍の血みどろの内戦はどうなっているのか。
何となくロシアのウクライナ進出以来、すっかり聞かなくなってしまった。
インド洋に消えたマレーシア航空の行方とBRACK BOXの探索はどうなった?
そのニュースを消したのは韓国の旅客船沈没なのだろう。
南シナ海で中国とベトナムが衝突。
では、東シナ海の尖閣諸島周辺で中国船の侵入は収まっているのか?
紛争や内戦は中東、アフリカで常態化しているのだろうが、
ナイジェリアの女生徒集団誘拐のニュースはよもや消えることはあるまいが、
解決をみないまま長期化すればどうなるかわかったものではない。
結果が置き去りにされたまま、ニュースは日々生まれては忘れられていくのか。
元CIAのエドワード・スノーデン氏って、今どうしているのだろう。


2014.05.19 ASKA逮捕に思う

調子っぱずれながら、チャゲ&飛鳥の『ひとり咲き』はカラオケでよく歌った。
あのロック演歌のような曲調は自分のツボなのだった。
今はASKAというのか、、、飛鳥涼なんてスポコン漫画のヒーローの名前のようだ。
いや熱血ヒーローに対する気障なライバルキャラの名前か。
そんなことはどうでもいい。
数ヶ月前にあれだけ週刊誌に騒がれながら、止めることが出来なかったか。
げに恐ろしきは薬物依存の恐ろしさだ。中高年に常習者が増えているらしい。
不祥事を起こした芸能人があっさりと復帰するのは甘いという見方もある。
ただもともと非常識な人間の集まりが芸能界だと思っているので、
今回の拘留を好機として、死ぬ気になって薬物依存を克服し、
薬物撲滅の広告塔となるべしではないか。
ASKAのファンではないが、茨の先にひとり咲けるチャンスはきっとある。


2014.05.20 遠隔操作野郎の迷走

薄暗いデスクで、にやつきながらノートパソコンのキーを叩く図が浮かぶ。
そう、世間を騒がすのに資金もいらなければ仲間もいらない。
便所の落書きレベルの脅迫メールを、警察の相次ぐ誤認逮捕が騒動を沸騰させる。
奴は警察幹部の謝罪会見に、勃起もののエクスタシーを感じていたのではないか。
単なる自己顕示欲も遠隔操作で他人を犯人に仕立てる手口はどうにも卑劣だ。
結局、江の島のネコの首輪で逮捕され、荒川の河川敷にスマホを埋めて再逮捕。
墓穴の掘り方が何ともアナクロなのは失笑ものだとしても、
無実を訴えながらメディアに露出した分だけ、情けない過去ログが積まれていく。
それにしても気色悪い。眉毛がつながった小太りメガネ野郎。
・・・と書いて思わず鏡で我が眉毛を確認した(汗)


2014.05.21 ゴメスの名はゴメス

いやはや9回表の一発は京セラドームの5階席まで行ったか。
7対6で逆転勝利。昨日、無残な結果に終わった関西ダービーに一矢報いた。
オープン戦での評価はすこぶる悪かったが、4月の快進撃はこの人のおかげだった。
マウロ・ゴメス。よし、ようやっとフルネームで覚えた。
ヒーローインタビューはスペイン語?出身地はドミニカ共和国だった。
因みに日本語読みでは土弥尼加共和国と書くらしい。ついでに覚えよう。
ちっ、ライオンズはなにやってんねん(怒)。腹立つな伊原・・・
ま、今夜はいいか。ゴメスありがとう。


2014.05.22 なでしこ決勝へ

フランス、ブラジル、アメリカらの強豪と戦ったロンドン五輪の記憶が蘇る。
それらの列強(?)と比べれば中国など敵ではないと思っていたし、
W杯を制し、五輪で銀の実績にアジア杯がそう高いハードルとも思わなかった。
いやいや中国はかなりの難敵だった。体格では優になでしこを上回っている。
アディショナルタイムに入ると体力も消耗し、押し込まれる場面もあった。
延長戦終了間際に岩清水のヘディングが決まって薄氷の勝利。
あのドキドキ、ハラハラのなでしこは健在だった。
なんで彼女たちのゲームはかくも面白く、劇的で鮮烈なのか。


2014.05.23 平穏から不穏へ

局地戦がますます拡大していくのか、今が平穏への生みの苦しみなのか。
30名の犠牲者という報道が新疆ウイグルとウクライナで伝えられ、
アフリカ、中東、南米の都市でデモ隊と治安部隊との衝突の映像が入ってくる。
つい先日はベトナムで反中デモが起きて市民が暴徒化したかと思えば、
北朝鮮は韓国との領海域で挑発とも思える砲撃で一気に緊張を高めていく。
タイでは軍がクーデターを断行し、バンコクは戒厳令下となった。
日本では自民が公明に集団的自衛権について与党合意を求めている最中だ。
自分は憲法の解釈を変えるのなら、堂々と憲法改変すべしと考えるのだが、
少なくとも自衛権が政治の遡上に上がること自体にまったく違和感はなくなった。
間違いなく、今、世界は不穏な方向に突き進んでいるようだ。
以前は自分も心情的にイケイケだった。
しかし、こと有事となれば血を流すのは自分より下の若い世代だろう。
戦争に出向くことはないジジィが勝手に放言をまき散らすのが見苦しくてならない。


2014.05.24 映画の予告編

いつも映画館には上映開始ギリギリに到着する。
そしてチケットを購入した後も、必ず劇場スタッフに本編の開始時間を聞く。
10分から15分ある予告編の間は、煙草を吸いに行く。
昔から予告編が好きになれない。中途半端な映像なら見ない方がマシだ。
だから他の観客に迷惑がかからないように通路側の席を選ぶのだが、
たまに予告編を観るとマーベル社のアメコミヒーローものか、
歯の浮くような日本語ナレーションがつけられて興ざめするものばかり。
とにかく、どんな映像なのかわかってしまうのが面白くないのだ。
ただし成人映画の予告編だけは例外。これだけは前のめりで観る。
昔、大笑いしたのが洋画ポルノの予告編で「全米がヌイた!」という奴。
まぁ、それはまた別のお話だ(by ビリー・ワイルダー)
そんな中で久々に「これは」と思える予告編を観た。
ウェス・アンダーソンの『グランド・ブタペスト・ホテル』と、
コーエン兄弟の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』という映画。
予告編で行きたいと思う映画は数年に一回あるかないかだが、
続けざまに「これは」に出会ったのは本当に珍しい。


2014.05.25 キャプテン

大きな大会限定の傍観者的なでしこファンとして、まず優勝を称えたい。
歓喜の優勝!という感じが希薄だったのは、彼女たちの貫録に思えた。
アジアの優勝カップは忘れ物を回収したのだということか。
いや、なでしこにとって五月場所の白鳳ほど楽勝ではなかったろう。
それにしても宮間キャプテンはいい。ていうか可愛い。
相手の健闘を称え合う仕草、仲間と喜びを分かち合う姿、カップを抱える姿。
試合を終えた小さな背番号8が映ると何ともいえない微笑ましさに包まれる。
「男子の励みになるかなと」とインタビューであやちゃん(笑)。
アジア制覇おめでとう、そしてありがとう。


2014.05.26 共有

十年来の友から電話がかかってきて、あっという間の4時間を共有した。
なでしこのサッカーから始まって、特撮、アニメ、タイガースから近況を話して、
最後の方は親への愚痴となって長電話を終えた。
同世代であり、かなりの部分でアイデンティティを共有しているので話題は尽きない。
そういえば普段の日常の中でそういうことが希薄だったかもしれない。
ここのところのぼんやりとしたストレスは人とのコミュニティ不足というより、
同世代の男同士とのアイディンティの確認をサボり続けていた結果だったのだ。


2014.05.27 なんだい

昨日の交流戦は甲子園だけが雨で流れた。
よって今夜のプロ野球は阪神VSロッテの一試合のみが開催される。
よっし、勝てばスポーツニュース独占だぜ、男を見せろ藤浪晋太郎。
と思いきや、スポーツニュースは軒並みサッカー日本代表に独占され、
野球枠も半分は星野仙一の戦線離脱に持っていかれた。
なんだい。結局、ちまちまと深夜の「プロ野球ニュース」を観た。
それにしても星野監督。難病だそうだが大丈夫だろうか。


2014.05.28 文化放送ライオンズナイター

20代の頃、外回りの仕事中にカーラジオでナイター中継を聴いたものだった。
ところがどの局も巨人戦ばかり、腹立つのでよく文化放送にダイヤルを合わせた。
完全ライオンズ贔屓の文化放送ライオンズナイター。
とくに戸谷真人アナの応援実況は過激で、解説の豊田泰光とのコンビは今も語り草だ。
なにせ相手選手のファインプレーに「何をするんだ!この罰あたりが」まで言い放つ。
あの頃の森西武は無敵だったこともあり毎回イケイケの中継が繰り返され、
実際、西武は追いすがってくる相手を最後は嘲笑うかのように蹴散らしていた。
今、阪神主催ゲームは衛星の視聴が出来ないので、久々に文化放送を聴く。
そして、あの頃のライオンズナイターと同じように最後の最後で虎は蹴散らされた。


2014.05.29 遠近両用

お気に入りのサングラスのレンズを遠近両用に替えている。
レンズ交換だけで2万円近くかかるので、まとめてというわけにはいかないが、
こうして意識はしなくとも自然に初老の準備に動かされているのかもしれない。
遠近両用より他にもっと動かなくてはならないことは物凄くあるんだけどね。


2014.05.30 影法師、のびた

仕事帰りに池袋まで歩くと、ちょうど西日が背中から照りつける。
日に日に暮れるのが遅くなって、影法師はどんどん伸びてゆく。
自分の身長が176㎝くらいとすると、影は185㎝~190㎝くらいはあるだろうか。
実際、このくらいの身長があれば確実に人生は変わったと思う。
多分、運動系の選手になっていただろう。ならばやっぱり野球がいいかな。
などと現状のふがいなさを影に託して妄想するのは楽しいが、
ほぼ理想身長の影は道がカーブに差し掛かると同時に消えてしまう。
夏至までもうしばらくの間、影法師を楽しもうか。


2014.05.31 峠

朝、映画を観て、レイト料金になる最終回にもう1本観ようと決めて、
それまでの間、寺社を巡ろうかと丹沢方面に向かう。
御府内八十八か所の77番札所があるヤビツ峠で参拝を終えたのが午後4時前。
見るとバス停にハイカーが群れていたので、座りたい一心で先のバス停まで歩く。
バス停の間隔など大した距離ではなかろうと踏んでいたのだが、
ところが山道をいくら登ってもバス停らしきものが一向に現れない。
当り前の話、ここは峠。周囲に山林しかなければ停留所などあるはずはない。
そのうち登り道の途中でバス二台とすれ違うも、こうなりゃ意地だ。
同じ道を戻るのは好きではない。開き直って登るべし登るべし。
結局、45分ほど登って、見晴らし台のバス停に辿り着いた。
ところが時刻表を見て「うげっ」。先ほどすれ違ったバスが最終だった。
考えてみれば峠のバスなど17時台まで走っているわけがなかったか。
ヘトヘトになりながら来た道を引き返すことになったのだが、
座りたいなどとセコい了見が見事に裏目に出たものだ。
裏目といえば足の裏にみるみるマメが膨らんで痛い。完全に登山となった。
顔をしかめながら黙々と歩きながら、すっかりレイトに行く気がすっ飛んでいた。

                           

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